【今日は何の日?】6月27日「イングランドのゴール、認められず」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年06月27日

ランパードのシュートはゴールラインを明らかに越えていたが…。

66年大会(写真)は伝説と長く続く論争の種を後世に残したが、10年大会は技術革新をサッカー界にもたらした、か!? (C) Getty Images

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 2010年6月27日、南アフリカ・ブルームフォンテーンのフリーステイト・スタジアムでは、ドイツ対イングランドという注目の一戦が決勝トーナメント1回戦で実現した。ドイツは首位、イングランドは2位で、それぞれグループリーグを突破しての対峙だった。
 
 試合は20分に動く。ドイツ陣内からのゴールキックがイングランド・ゴール前まで達し、これをミロスラフ・クローゼが懸命に右足を伸ばしてゴール。さらにドイツは、32分にルーカス・ポドルスキが角度のないところからGKデイビッド・ジェームズを破った。
 
 対するイングランドは、37分にスティーブン・ジェーラドのFKをマシュー・アップソンが頭で合わせて1点を返す。そしてその1分後、事件は起きた。ペナルティエリア前からフランク・ランパードが放ったミドルシュートは、クロスバーを叩いてゴールラインを越えた位置に落下。明らかにゴールだったが、GKマヌエル・ノイアーはすぐにボールを拾ってプレーを続け、これに対してホルヘ・ラリオンダ主審は何のアクションも示さなかった。
 
 一瞬のプレーで、ゴールを割ったか否かを人間の目で判定するのは難しいのは事実だ。かつては、1966年イングランド大会決勝で、今回と同じイングランドと(西)ドイツが対峙し、この時はイングランドのジョフ・ハーストが放ったシュートはゴールと判定されたが、いまだにゴールラインを越えていたか否かで意見は二分され、ドイツ人はこのゴールを認めないとともに、あのゴールがなければドイツが勝っていたと、いまなお頑なに主張している。
 
 同じケースは、86年メキシコ大会のブラジル対スペイン戦でも起き、スペインのミチェルが放った強烈なシュートがクロスバーを叩いて真下に落下。この時はノーゴールと判定され、その後ブラジルが1-0で勝利するのだが、映像ではゴールラインを越えているようにも見えた。
 
 さて時を2010年に戻そう。イングランドは、選手はもちろん、監督のファビオ・カペッロも猛烈に抗議するが、それで判定が覆るはずもなく、試合は進む。結局、この後ドイツがトーマス・ミュラーの連続ゴールで加点し、4-1という思わぬ大差でイングランドのワールドカップは終わりを告げたのだった。
 
 カペッロ監督は当然、試合後にラリオンダ主審を批判し、「あのゴールが認められていれば、我々は違った戦いができていたはずだ」と憤慨。もっとも、両チームのプレーの質を比較して「たとえあれがゴールと判定されていても、イングランドがドイツに勝つことはなかっただろう」という意見も多々あるのだが……。いずれにせよ、誰にとっても後味の悪さを残してしまったのは事実だろう。
 
 この後、FIFAは準々決勝以降の審判リストからラリオンダ主審を除外。しかし、これはひとりの審判の質にとどまる問題ではない。瞬間的な事象をいかに正確に、しかも試合の流れを妨げることなく判定するかは、長い間、サッカー界にとっては大きな課題であり、審判の増員、ビデオ判定の導入など、これまでさまざまなアイデアが出され、また採用されてきた。

 そして今大会からは新たに、機械によるゴール判定システムを導入。さっそくこれが、各試合で機能している。もはや、機械の故障でも起こらない限り、ワールドカップにおいてゴールラインを越えたか否かの判定ミスでゴールを取り消されるようなことは起こらないだろう。

 ランパード、そしてイングランドは、このケースの最後の被害者だったというわけだ。
  
◆6月27日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1954年スイス大会
「準々決勝」
ハンガリー 4-2 ブラジル
西ドイツ 2-0 ユーゴスラビア
 
1994年アメリカ大会
「グループリーグ」
スペイン 3-1 ボリビア
ドイツ 3-2 韓国
 
1998年フランス大会
「決勝トーナメント1回戦」
イタリア 1-0 ノルウェー
ブラジル 4-1 チリ
 
2006年ドイツ大会
「決勝トーナメント1回戦」
ブラジル 3-0 ガーナ
スペイン 1-3 フランス
 
2010年南アフリカ大会
「決勝トーナメント1回戦」
ドイツ 4-1 イングランド
アルゼンチン 3-1 メキシコ
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