解明すべき検証課題。なぜ宇佐美は、プラチナ世代は日本代表の軸になり切れないのか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2018年03月28日

「レアル・マドリーにも各国代表にも貴史は負けていなかった」

世代を代表する柴崎(左)、宇佐美(中)、杉本(右)の3名。ベルギー遠征では、揃って同じピッチで共演することはなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 すでに中学に入学した頃から、宇佐美貴史の名前は全国区になりつつあった。ガンバ大阪の最高傑作との評判は一気に広まり、中学2年時にはU-15のキャプテンを務め、全日本クラブユース選手権で決勝ゴールを突き刺すと、3年時にはユースに昇格。17歳でクラブ史上最年少のトップデビューを果たした。また宇佐美が牽引する年代別日本代表は、圧倒的な攻撃の質を誇り、ライバル韓国を寄せつけなかったことから「プラチナ世代」と呼ばれるようになる。

 
 現在東京ヴェルディで不可欠のボランチとなった内田達也は、年代別代表の主将としてU-17ワールドカップを戦ったが「レアル・マドリーをはじめ、各国代表や有名クラブとも試合を重ねてきたが、貴史はどの試合でも負けていなかった」と述懐している。2008年北京五輪を経験した本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、吉田麻也らが次々に海外に出て、さらにプラチナ世代が突き上げる状況が生まれ、本来ならロシア・ワールドカップは最高潮に期待が膨らんでいるはずだった。
 
 だがプラチナ世代は、天才肌の攻撃的資質が溢れる反面、もともと守備面への課題を抱えていた。U-17日本代表を率いた池内豊監督も、攻撃的MFの高い競争率とは対照的に「少しでも守備の出来る選手がいれば、ボランチに回したい」と頭を悩ませた。結局一貫してプラチナを牽引して来た宇佐美にしても柴崎岳にしても、そこが解消されたとは言い難い。宇佐美はホッフェンハイム時代から、攻撃面では非凡なプレーも見せてきたが、現地ドイツでは「戦えない」とのレッテルが貼られてしまった。日本代表でも、ハビエル・アギーレは招集しようとしなかったし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に指摘されると途端に走行距離が急増していったから、意識づけが遅れていたことは否めない。また柴崎も、アギーレ、ハリルホジッチ両監督ともに、日本代表でのボランチ起用は考えていない。
 
 おそらく7~8年前の日本関係者の未来図には、宇佐美や柴崎が核となり、経験を重ねた香川真司らと創造的に連動する日本代表が描かれていたに違いない。メディアが先導して若い才能を無条件で讃えたという点では、現在の久保建英への熱視線にも似ているのかもしれない。
 
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