絵に描いたような、ドラマチックな幕切れだ。
 
　現地時間３月５日に行なわれたプレミアリーグ26節、クリスタル・パレスvsマンチェスター・ユナイテッドのゲームは、敵地に乗り込んだ後者が０－２からの大逆転劇を完遂し、３ポイントを奪取した。
 
　試合が動いたのは11分だ。パレスは一気のカウンターからクリスティアン・ベンテケが左サイドで粘り、中央へパス。走り込んだアンドロス・タウンゼントが自慢の左足で合わせると、これがヴィクトル・リンデロフに当たってゴールに吸い込まれた。攻守両面でどこかチグハグさが否めないユナイテッドを尻目に、次の１点を奪ったのもホームチーム。48分、素早いリスタートから左サイドを駆け上がったパトリック・ファン・アーンホルトが、豪快にＧＫダビド・デ・ヘアのニアを抜いたのだ。

 
　集中力が緩慢なユナイテッドの選手たちに怒りを露にするジョゼ・モウリーニョ監督。55分にＣＫの流れからクリス・スモーリングのヘッドでようやく１点を返す。そして勝負師がギャンブルに出る。67分、なんと両サイドバックに代え、ファン・マヌエル・マタとルーク・ショーを投入。３つの交代枠をすべて使い切り、攻撃的布陣にシフトして攻勢に出たのである。
 

　これで目が覚めたのか、ユナイテッドが猛チャージ。75分にネマニャ・マティッチが決定打を放ち、これはゴールライン上でベンテケにスーパークリアされてしまう、その直後のプレーが圧巻だった。アレクシス・サンチェスのシュートが相手DFに当たってバーを叩くと、拾ったロメル・ルカクが眼前に並び立つ５人の人垣を冷静に突き、同点弾を蹴り込んだ。まさに“針の穴を通す一撃”をお見舞いした。
 
　瞬く間にオープンな展開となったゲーム。同点とされた１分後にパレスはベンテケが強力ヘッダーで襲いかかるが、デ・ヘアが神懸かりなセーブでこれを阻止。一進一退の攻防戦が繰り広げられ、迎えたアディショナルタイム２分、壮絶な一戦にピリオドを打ったのは美しきファインゴールだった。ゴール前30メートルの位置からマティッチが左足のハーフボレーで豪快にインパクト！　鋭いドライブ回転がかかったショットが決まり、ミラクルな逆転ショーが完成を見た。