[高校サッカー選手権準々決勝]上田西 ３-２ 明秀日立／１月５日／駒沢
 
　点の取り合いとなった上田西（長野）対明秀日立（茨城）の一戦。上田西が１点リードで迎えた前半38分、早い時間帯で投入したのは、ロングスローを武器とするFW田嶌遼介（３年）だった。「『ロングスローもある』と前半から相手に思わせてビビらせようかなと思いました」と言う上田西の白尾秀人監督の狙いは見事に的中した。
【選手権PHOTO】準々決勝 明秀日立2-3上田西 
 
　後半１分、上田西は敵陣深くでスローインのチャンスを得る。
「『速いボールをニアで合わせる形』と事前に根本凌（３年）君と話をしていました。速いボールを根本君に当てて、すらしてもらって得点というのは作戦通りで、すごく嬉しかったですね。『狙い通りだったな』と根本君に言ったら『もう少し高いボールが欲しかった』と言っていたので『ごめんね』と言いました（笑）」
 
　田嶌の低くて速いロングスローを長身FWの根本が綺麗に頭ですらして、DF田辺岳大（３年）が左足でゴールに押し込んだ。「根本君が練習通りの形ですらしてくれて、良いところに落ちた。ゴールを決められて良かったです。自分の目の前にボールが転がってきたので、決めてやろうと思って蹴りました」という田辺のゴールは上田西にとって、勝負を決めるうえで大きな３点目となった。
 
「星稜戦の時も（ロングスローから）取られてもおかしくない場面はありましたし、こういう時に失点するというのは、今回はもう少し勉強しろということなのだと思います」と明秀日立の萬場努監督もこの場面での失点を悔やんだ。
 
　その後も田嶌は低くて速いボールだけではなく、高くふわっと上げたボールを投げ分けて、ロングスローから多くのチャンスを作り出した。
「中学生の時からロングスローは投げていました。投げてみたら、遠くに飛んだんです。手で投げるので、ある程度位置もコントロールできますし、投げる時は中の人たちと話し合って、高くてふんわりなのか、ライナー性の速いボールかを相談して投げています」
　田嶌はチャンスメイクの切り札となったロングスローにまつわるエピソードをそんな風に話してくれた。