準々決勝以降も大暴れか⁉
[高校サッカー選手権3回戦]帝京大可児 0-5 上田西/1月3日/駒沢
183センチの大型ながらも、身のこなしがしなやかで、ポテンシャルの高い選手であることは誰が見ても明らか。今大会の“ハンパない”ストライカー候補のひとりである上田西のFW根本凌(3年)が3回戦の帝京大可児戦で2ゴールを奪い、自らの名前を全国に売り込んだ。
ただ大きくて動けるだけの選手ではない。ヴァンフォーレ甲府や松本山雅FCで活躍したFW出身の白尾秀人監督が評価するのは彼が持つ感覚の良さで、「相手を背負った状態でボールを受けることができたり、浮き球の判断が上手い。自分がトラップすべきなのか、ヘディングするのか、流すのか的確に判断できるし、トップスピードになるのも早い」と評する。
帝京大可児との試合は、彼の特徴がよく出た試合だった。前半はポストプレーが中心だったが、後半開始すぐに右サイドから上がったクロスを頭で合わせて先制点をマークすると、後半27分にはボール奪取から、そのまま右サイドをドリブルで突破。「練習でやってきた形」(根本)通り、バイタルエリアに入ったタイミングで中央に切れ込みながら、寄せてきたDFを冷静にかわして左足シュートを叩き込んだ。ゴールは地区予選4回戦の飯田戦以来。試合後は、「これまではゴール前のスプリントが足りなかった。ボールが来そうなところに嗅覚を持って、入っていった結果がゴールに繋がった」と笑顔を見せた。
観客を沸かせた2ゴールを含め、彼のプレーは可能性を秘めたダイヤの原石だと言える。中学時代は、神奈川の街クラブ「シュートジュニアユースFC」に所属したが、中学3年生の頃に腰の分離症を患ったせいで、満足に試合に出られなかった。昨年は国体選抜に選ばれたものの、チームは夏冬ともに全国出場は果たせず。迎えた今季も県大会での優勝が目標だった。
これまで全国大会は身近ではなく、根本にとって選手権は出る舞台ではなく、観る舞台だった。正月休みで地元の神奈川に帰省すると、父親と一緒に駒沢陸上競技場で選手権を観戦。昨年は、中学時代のチームメイトであるDF功刀舜也(3年)が所属する尚志の試合を観戦したという。
憧れの舞台だからこそ、開会式が始まるまで、自らが選手権に出る実感が湧かなかった。初戦の京都橘戦は観客として何度も訪れた駒沢が舞台で、「ここに立つのが夢だった」。緊張から思うようにプレーできず、「自分で打てば良かったなというが場面あったり、後悔が強かった」と振り返る。
しかし、緊張が解ければ輝きも自然と増す。選手権予選以降に、白尾監督からゴールを背にした状態でプレーし、ポストプレーを第一に考えていたこれまでの動きを指摘されたことも成長を後押し。ボールを受ける際に半身となり、ゴールを常に視界に入れてプレーし始めたことで選択肢が増え、積極的にゴールを狙う意識が強まったという。
昨年までは、1試合の中で消えている時間帯も多かったが、白尾監督が「メンタルのところで厳しくやっているので、だいぶ成長している」と称えるように、稼働時間も増えてきた。名刺代わりの2ゴールで勢いに乗った根本が、準々決勝以降も大暴れしても不思議ではない。
取材・文●森田将義(サッカーライター)
183センチの大型ながらも、身のこなしがしなやかで、ポテンシャルの高い選手であることは誰が見ても明らか。今大会の“ハンパない”ストライカー候補のひとりである上田西のFW根本凌(3年)が3回戦の帝京大可児戦で2ゴールを奪い、自らの名前を全国に売り込んだ。
ただ大きくて動けるだけの選手ではない。ヴァンフォーレ甲府や松本山雅FCで活躍したFW出身の白尾秀人監督が評価するのは彼が持つ感覚の良さで、「相手を背負った状態でボールを受けることができたり、浮き球の判断が上手い。自分がトラップすべきなのか、ヘディングするのか、流すのか的確に判断できるし、トップスピードになるのも早い」と評する。
帝京大可児との試合は、彼の特徴がよく出た試合だった。前半はポストプレーが中心だったが、後半開始すぐに右サイドから上がったクロスを頭で合わせて先制点をマークすると、後半27分にはボール奪取から、そのまま右サイドをドリブルで突破。「練習でやってきた形」(根本)通り、バイタルエリアに入ったタイミングで中央に切れ込みながら、寄せてきたDFを冷静にかわして左足シュートを叩き込んだ。ゴールは地区予選4回戦の飯田戦以来。試合後は、「これまではゴール前のスプリントが足りなかった。ボールが来そうなところに嗅覚を持って、入っていった結果がゴールに繋がった」と笑顔を見せた。
観客を沸かせた2ゴールを含め、彼のプレーは可能性を秘めたダイヤの原石だと言える。中学時代は、神奈川の街クラブ「シュートジュニアユースFC」に所属したが、中学3年生の頃に腰の分離症を患ったせいで、満足に試合に出られなかった。昨年は国体選抜に選ばれたものの、チームは夏冬ともに全国出場は果たせず。迎えた今季も県大会での優勝が目標だった。
これまで全国大会は身近ではなく、根本にとって選手権は出る舞台ではなく、観る舞台だった。正月休みで地元の神奈川に帰省すると、父親と一緒に駒沢陸上競技場で選手権を観戦。昨年は、中学時代のチームメイトであるDF功刀舜也(3年)が所属する尚志の試合を観戦したという。
憧れの舞台だからこそ、開会式が始まるまで、自らが選手権に出る実感が湧かなかった。初戦の京都橘戦は観客として何度も訪れた駒沢が舞台で、「ここに立つのが夢だった」。緊張から思うようにプレーできず、「自分で打てば良かったなというが場面あったり、後悔が強かった」と振り返る。
しかし、緊張が解ければ輝きも自然と増す。選手権予選以降に、白尾監督からゴールを背にした状態でプレーし、ポストプレーを第一に考えていたこれまでの動きを指摘されたことも成長を後押し。ボールを受ける際に半身となり、ゴールを常に視界に入れてプレーし始めたことで選択肢が増え、積極的にゴールを狙う意識が強まったという。
昨年までは、1試合の中で消えている時間帯も多かったが、白尾監督が「メンタルのところで厳しくやっているので、だいぶ成長している」と称えるように、稼働時間も増えてきた。名刺代わりの2ゴールで勢いに乗った根本が、準々決勝以降も大暴れしても不思議ではない。
取材・文●森田将義(サッカーライター)