“ドッキリ”のマドリー行きで話題の逸材MF、新天地ユーベで価値を証明!

カテゴリ:メガクラブ

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2017年10月29日

マドリーの関係者というのはまったくの偽物だった。

今夏にはユーベの正式入団。早くも少なくないプレータイムを得て、注目を集めている。(C)Getty Images

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 カルロス・テベスがボンボネーラに帰還したその夜、ボケンセ(ボカのファン)たちはロドリゴ・ベンタンクールに惚れ込んだ。試合終了10分前に交代出場した18歳は、トップチームに上がってわずか8試合目。ピッチに立って最初に触れたボールで、敵MFを相手に華麗過ぎる股抜きを決めて、スタジアムには「おー!」という感嘆の声が響き渡った。偉大なるアイドル、ファン・ロマン・リケルメの姿を見たからだ。
 
 そのリケルメよりも万能型で、トップ下ではなくセントラルMFが主戦場であるベンタンクールは、友人たちから「ロロ」と呼ばれている。「ポッロ」(鶏)というニックネームもある。184cmの長身ながら75kgと線が細く、鶏が首を伸ばして立っているように見えるからだ。
 
 9歳の時に新聞で母国の名門ペニャロールの育成部門の募集広告を見て、迷った末にその門を叩こうと決心した。しかしその前に、地元のチームでプレーするこの少年にボカが目をつけ、二束三文で引き抜いてしまった。
 
 まだプロデビュー前だった16歳の時には、レアル・マドリーが獲得に乗り出すという噂が飛び交った。しかし何とこれは、アルゼンチンのラジオ局が仕掛けた“ドッキリ”。「ベンタンクールが欲しい」と話したマドリーの幹部と称する人物は、まったくの偽物だったのだ。にもかかわらず、このフェイクニュースはほんの数時間でヨーロッパに届き、そのまま世界を駆け巡った。
 
 ユベントスが契約満了1年前だったテベスを無償でボカに返すのと引き替えに、ベンタンクールの獲得オプションを手に入れたのは2015年夏のこと。それからの1年あまりでこの逸材MFは、誰もが驚くような成長を見せる。今夏の正式契約後、プロビンチャへのレンタルも囁かれたが、ユーベのスカッドに残った。
 
 そして、今シーズンはすでに9試合の出場機会を得ている。欧州初挑戦の20歳が、名門ユーベでこれだけのプレータイムを得ているというだけで、ポテンシャルの大きさが分かるというものだ。この10月にはウルグアイ代表にもデビューした。
 
 今ではユベントスとウルグアイ代表の中盤を将来に渡って支える希望の星として注目を集めている。今度の話は、決してドッキリでもフェイクニュースでもない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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