個の発掘か?戦術の熟成か? 戦略家ハリルホジッチが最終予選で見せた“一流の妥協”

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2017年10月04日

最終予選のキーワード「妥協」。

ロシアW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦(●0-1)の布陣。流動性の高いサウジアラビアに、マンツーマンがはまらず。中盤の山口は相手の動きに翻弄された。

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 日本代表監督に就任した2015年、ヴァイッド・ハリルホジッチはチーム強化の過程を4つに分けて説明した。
 
 第1段階は、2次予選。第2段階は、最終予選。第3段階が予選を突破した後の1年弱で、第4段階がワールドカップの直前合宿だ。今は第2段階まで終了したことになる。
 
 第1段階のキーワードは「基盤」だろう。縦に速く攻める戦術の徹底。チームのベースを固めるべく、ボールを奪う力を高め、カウンターの切れ味に磨きをかけた。では、第2段階はどうか。筆者の頭に浮かんだキーワードは「妥協」だ。
 
 第1段階から継続してチーム内競争を煽り、新しい人材を発掘した。ハリルジャパンは〝カメレオン戦術〞。試合によってメンバーや配置をがらりと変える。戦術面の約束事も、相 手の長所を消すため、弱点を突くために毎回変わる。つまり、選手にとっては継続的に代表に選ばれるメリットが少なく、監督にとっては新しい選手を抜擢しやすいということ。浅野拓磨、久保裕也、井手口陽介らの活躍は、そのプロジェクトの成功を意味する。新たな「個」の獲得は、中堅・ベテランクラスでも例外なく進められた。
 
 一方で、妥協が見られたのが戦術面だ。試合を重ねるにつれ、守備の問題をマンツーマンで解決するようになった。予選最終節のサウジアラビア戦(※図はサウジ戦の布陣)では、ウイングの原口元気と本田圭佑が相手SBに付いて最終ラインまで下がってきたが、それが分かりやすい現象だろう。さらに中盤も山口蛍らがマンツーマンで対処するため、相手の動きに振り回されがち。サウジアラビアのように流動性の高いチームとぶつかると、マークを捕まえ切れなくなってしまうのだ。
 
 不可解。ハリルホジッチが就任後、いの一番に行なったトレーニングはなんだったか。ロープだ。選手にロープの端と端を持たせ、お互いの距離を一定にしながら連動させる。そうしてゾーンディフェンスの基本的なセオリーを学ばせた。初陣のチュニジア戦、続くウズベキスタン戦では、相手のボールを上手く引っ掛けて、カウンターを繰り出している。ゾーンで守るメリットは、ボールを奪う形を、主導権を持って作り出せるところにある。網を張って、引っ掛ける。奪う形が明確なので、カウンターを発動しやすいし、余計な体力の消耗も抑えられる。
 
 しかし、相手の動きに振り回されるマンツーマンは消耗が大きいうえに、流動性に対してボールを奪う形を整理しづらい。よってカウンターも即興の色合いが強くなってしまう。 ハリルホジッチにとって、これが理想的な守備とは思えない。
 

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