その最新版が、今年のチームにいる。巧さとクレバーさを持ち合わせた高校2年生、岩本翔だ。
167センチと小柄ながら、テクニックは一級品。確かなボールキープから精緻なラストパスを供給し、好機を演出する。的確なポジショニングも魅力だ。中盤の底で絶妙な位置に付けてボールを引き出し、的確に散らしていく。パスを出すだけでなく、スペースを見つければ積極果敢に飛び出し、みずからゴールも狙う。トップチームの10番、倉田さながらのダイナミックなプレーを披露する。「遠藤(保仁)選手をガンバに入ってからずっと目標にしている」と本人は話すが、よりゴールに近いところでプレーできる。言わば、倉田と遠藤を足して2で割ったタイプだ。
炎天下の群馬で幕を開けた日本クラブユース選手権。7月24日に行なわれたグループステージ・2節のジュビロ磐田U-18戦では、そのストロングポイントを随所で見せつけた。
例えば、26分のシーンだ。ガンバユースの布陣は中盤がひし形の4-4-2。トップ下で起用された岩本は、「真ん中でも良かったけど、左サイドのほうがフリーでもらえると思ったんでそこにポジションを取った」と独自の判断で位置を変えていた。ここからMF丹羽匠(3年)に縦パスを配給すると、一目散にエリア内へ猛ダッシュ。惜しくもボールを呼び込めず、フィニッシュには至らなかったが、ポジショニングとパス精度、フリーランという彼の武器がすべて凝縮されていた。
