久保建英は、具体的に何が凄いのか? 今さら聞けない逸材の真価とは

カテゴリ:高校・ユース・その他

川端暁彦

2017年05月02日

「久保がフィジカルで潰されている」というストレスを感じることはない。

U-20ワールドカップのメンバー入りを果たした久保。(C)Getty Images

画像を見る

 彼を知り、己を知れば、百戦あやうからず――。
 
 敵のことと自分のことを正確に知ることができれば、百戦やっても負けませんよ、という『孫子』の有名な一節がある。サッカーにも通じる考え方だが、言うは易く行うは難し。敵のことを正確に洞察するのは当然ながら容易ではないし、味方のことを知るのも意外に難しい。特に自分自身のことを自分で理解するのは難しいものである。

 
 これはユース年代を取材していてしばしば出くわすことだ。「俺の武器はドリブルです」と言ってくる選手について、指導者は「ドリブルは武器になるほどではないですが、スタミナがあるのでもっと運動量を生かせるように」なんて考えていたりするケースである。
 
 やりたいプレー、特長だと思っている部分が、実は大した特長ではなく、逆に本人が武器だと思っていないところが将来的に武器になると思われている。よくある話である。
 
 一方、もうすぐ16歳になる久保建英についてU-20日本代表の内山篤監督は逆のことを指摘しているのが何とも印象的だ。
 
「自分のできること、できないことが整理されていて、本当に自分のことをよく分かっている選手。だから無理なプレーがないし、自然にやれる」
 
 自分の出せるプレー、出せないプレーを理解しているので、判断を間違えない。だから効果的なプレーができるというわけだ。
 
 そうした個性は能力的に久保が見劣りする部分も出てくるU-20年代の代表に引き上げられたことで、かえって際立つようになってきた。
 
「フィジカル(コンタクト)で負けることがあるのは分かっているので」とサラリと言っていたこともあるが、15歳の久保が20歳の外国人選手と競り合うのだから、なかなか難しい面はある。
 
 ただ、それでもここまでなら競り合える、ここから先は厳しいというラインをしっかり引けているので、U-20代表の試合を観ていて「久保がフィジカルで潰されている」というストレスを感じることはない。
 
 それはU-20ドイツ代表を相手にした時も同じだった。どんどんボールを離してコンタクトの機会を最小限にしながら、常に相手の様子を観察し、場合によっては選択的なドリブルで出し抜いていく。「味方を使って自分を生かすことが分かっている」(内山監督)と評される判断に関する無駄のなさは、その前段階である自分と敵を正確に観るというベースがあるからこそだろう。

好評発売中! 高校サッカーダイジェストVol.20
2017逸材図鑑300選
注目の男女・好タレントを一挙公開!!
http://www.nsks.com/mook/detail/id=498

画像を見る

【関連記事】
U-20W杯へ異例の飛び級招集。指揮官は15歳の久保建英をどう見ているのか?
【久保建英の生コメント】W杯メンバー入り直後の心境。「サッカーはある意味、運。だから…」
中村俊輔、遠藤保仁、小野伸二…を超える「最も衝撃を受けた」と鈴木啓太が引退記者会見で明かした“意外”な選手とは?
久保建英のU-20W杯“飛び級”選出をスペイン紙も報道!「バルサは帰国後も…」
日本サッカーを彩る「美女サポーター」たちを一挙に紹介!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ