【現地評】酒井宏樹はなぜフランス人に愛されるのか。「美しいサプライズ」との賛辞も

カテゴリ:海外日本人

結城麻里

2017年04月24日

仏全国紙が称えた酒井の日本人らしい気質。

ガルシア監督が標榜する守備的な戦術に欠かせないキーマンに。ただピッチ外では、言葉の壁に悪戦苦闘中だ。(C) Getty Images

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 フランスの名門マルセイユでプレーする日本代表DFの酒井宏樹が、フランス人の好感を得ている。国内随一の人気クラブで、露出度が高いお蔭でもあるが、理由はそればかりではない。
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 現地時間4月16日のリーグ・アン33節 サンテティエンヌ戦(○4-0)でも、58分に酒井が相手DF3人を一気に射抜くパスをフロリアン・トバンに通してゴールが生まれた。
 
 このアシストには手厳しいことで有名な本拠地ヴェロドロームの観衆も、「サカーィユ、サカーィユ」と熱いコールを送り、80分にベンチに下がった日本人DFを称えた。
 
 なぜ、「サカーィユ」かと言うと、フランス人はなかなか「サ・カ・イ」と発音できず、俗語の「サ・カーィユ」になってしまうのだ。「寒い」の意味で、単に笑える日常用語である。
 
 思えば、秋に全国紙『レキップ』が、記事中にさらりと挿入した一文も、ある種の兆候だったかもしれない。
 
 レキップは、「自分の名前が何を意味するのかも知らないサカイが奮戦している」という「サ・カーィユ」を理解できていない酒井を皮肉りながらも、その健闘ぶりを讃えたものだった。ただ、当時はまだ、「いつまで持つことやら」という暗黙の疑念が漂っていた。しかし、酒井はそんな風潮を覆したのだ。
 
 現地テレビ局の実況アナ、ステファンヌ・ギーが、「サカイは東京までボール奪取に走りました」と激しいリトリートを褒めたかと思えば、元選手で名物インタビュアーのローラン・パガネッリは、生中継の最中に「僕の身内が日本女性と結婚して日本に行ってきたばかりなんだよ」と興奮気味に語りだし、懸命に「ハジメマシテ」「アリガトゴザイマス」と日本語を交えながら、試合直後に酒井を捕まえては、テレビに登場させている。
 
 天下の『レキップ』がついに酒井を大きく登場させたのは、1月14日のことだった。通訳を使っての本人インタビューとチームメイトたちの酒井評で構成したこの記事は、1ページを割いて酒井の人となりを浮き彫りにした。
 
 そこには「禅」「静」「無限の礼儀正しさ」「慎ましさ」などの日本らしい気質がありありと描かれていたが、なによりチームメイトたちはその気さくな人柄を称えていた。
 
「疲れることがあるんだろうかって思うぐらいさ! 彼の側にいるのが好き。いつもポジティブで、『グッド・フランク、グッド・フランク』って励ましてくれるんだ」(アンドレ=フランク・ザンボ/MF)
 
「日本と中国はライバル関係だから、わざとからかうんだ。『お前の国の中国では天気いいのか?』とか『スパイクで蹴られた? あー、それ中国製だよ』とかね。でも彼は気を悪くしないんだ」(ロド・ファンニ/DF)
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