【日本代表】コンディション重視の選手起用なら、一気に世代交代が進むか

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2016年11月09日

もはやセットプレーの弱さは短期間で改善できないだろう。

今もっとも頼りになるアタッカーが原口だ。サウジ戦でもゴールやアシストに期待したい。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 セルジオ越後氏のサッカーダイジェスト連載『天国と地獄』で「サウジ戦の勝利は絶対」という記述があった。確かに、その通りだ。11月15日のホームゲームでグループBの首位を走るサウジアラビアに敗れた場合、このライバルに勝点6差をつけられ、予選敗退の可能性が高まるのだから、引き分けすら許されない。

 ただ、「勝利が絶対」なのはサウジアラビア戦の次──来年3月23日のUAE戦も同じだろう。そして仮にアウェーでUAEを叩いたとしても、その4日後のタイとのホームゲームも極めて重要……。結局、ホームでUAEに1-2と敗れた初戦の黒星が尾を引いているわけで、今回のサウジ戦に限らず、「勝利は絶対」の試合はしばらく続くのだ。

 当然ながら、求められるのは内容以上に結果。攻撃的だろうが、守備的だろうが、そこはさして関係ない。生きるか死ぬかの最終予選は、勝てばオーケーなのだ。

 勝負に徹したという意味で、オーストラリア戦でボールポゼッションに拘らなかった日本のスタンスは評価に値した。

 あえてボールを持たせて、前線からの能動的な守備でボールホルダーを仕留め、そこから効果的にカウンターを繰り出す。前半5分に本田圭佑との素晴らしいコンビネーションから原口元気がまんまと先制ゴールを奪い、その後も「相手に支配させる」(本田)やり方でイニシアチブを握ったサッカーは、PKを取られる50分過ぎまではほぼ完璧だった。

 1-1に追いつかれた以降、押し込まれる展開となり「支配させるから“される”に変わった」(本田)のは残念だが、あのPKさえなければ、という試合だった。

 チームとしての一体感は、イラク戦の終盤にも強く感じた。80分過ぎにCBの吉田麻也を最前線に上げ、そこにめがけてとにかくロングボールを蹴り込むパワープレーは視覚的に美しくなかったものの、間違いなく相手の脅威になっていた。山口蛍の劇的な決勝ゴールも吉田へのファウルをきっかけに生まれたのだから、この“奇襲攻撃”は結果的に大成功だった。

 ひとつの型に拘らず、臨機応変に振る舞えたという点で10月シリーズの戦いぶりは悪くなかった。しかし、一方で日本のウイークポイントが改めて露呈されたのも事実である。

 そのひとつが、セットプレーの弱さだ。かねてから指摘されている弱点にもかかわらず、修正できないまま今回の最終予選でもホームのUAE戦とイラク戦で失点。こうもあっさり崩されると、正直、短期間での改善は期待できない。

 おそらく最終予選の残り6試合では、「1試合・1失点」を覚悟しなければならないだろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「FKやPKを誘うスペシャリスト」というサウジを相手に、果たして1失点で済むのだろうか。

 もはや致命傷とも言えるセットプレーの弱さを考慮すると、日本が勝つには複数得点が必須だ。しかし、攻撃面ではまた別のウイークポイント、決定力不足に悩まされている。

 オーストラリア戦で悔やまれたのは、29分のシーン。左サイドで抜け出した原口が敵陣深くから折り返し、それをゴール前でフリーの本田がシュートしながら、GKに正面でキャッチされた場面だ。あそこで追加点を決めていれば、日本はより優位に試合を進められたはずである。

 その前のイラク戦もそうだ。1-0とリードした以降の決定機を決めらなかったせいで、日本は結果的に苦しい戦いを強いられている。ここぞという時に仕留める力が現代表には欠けているのだ。
 
【関連記事】
【オマーン戦のスタメン予想】好調の大迫、齋藤、井手口を、ここで使わなくてどうするの?
【日本代表】「チームコンセプトが変わらなければ…」。本田が示す“改革へのトライ”
小林祐希の原点<1> 幼稚園でリフティング1000回超! 卒園時に「日本代表になる」
【日本代表】「本田さんの次は俺」オランダの玄人を唸らせた小林祐希の自信と決意
【日本代表】柏木陽介のまさかの落選――盟友・槙野の見解は?

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ