オーナーと大物代理人の間に溝が…プランデッリのバレンシア挑戦は前途多難?

カテゴリ:ワールド

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2016年10月13日

2年前のクラブ買収時は昵懇の仲だった両者だが…。

2014年ワールドカップをもってイタリア代表監督の座を辞したプランデッリは、その後にガラタサライを半年間指揮。バレンシアで現場復帰を果たした。(C)Getty Images

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 バレンシアが「メイド・イン・イタリー」に回帰した。1990年代後半にクラウディオ・ラニエリ(現レスター監督)が結果を残して高い評価を受けてから15年、今度は元イタリア代表監督のチェーザレ・プランデッリが指揮を執ることになったのだ。
 
 イタリア人監督にしては「ボールを大事にする」傾向が強く、人間的にも広く尊敬を集めている名伯楽だ。キャリアのピークは、アッズーリ時代に勝ち取ったEURO2012準優勝。彼の招聘を望んだのは、他でもないシンガポール人オーナーのピーター・リムだ。
 
 リムにバレンシアの買収を手引きした張本人で、現在も11人もの契約選手を送り込むなどチーム強化を裏から操る大物代理人ジョルジュ・メンデスも、この人事を受け入れている。
 
 しかしメンデスとリムの関係は、2014年10月のクラブ買収当初と比べるとだいぶ距離を置いたものになってきているという。配下の選手を出し入れしてマージンを稼ぐメンデスにマスコミやサポーターから抗議が殺到しているからかもしれないし、わずか2年間で4人も監督が入れ替わる過程で、人間関係に何らかのひびが入ったのかもしれない。
 
 その4人目の指揮官となったプランデッリは、10月16日のスポルティング・ヒホン戦で初采配を揮う。7節を終えて降格圏の17位タイに沈むチームも、オーナーと強化を仕切る代理人に溝ができているクラブも、決して雰囲気が良いとは言えない。イタリア人の名伯楽は、この逆風の中でいかなる手腕を見せるのか。注目したい。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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