神奈川・東京の才能が集う横浜FMJrユースが実践する「選手の価値」の高め方

カテゴリ:高校・ユース・その他

竹中玲央奈

2016年10月04日

劣悪なピッチ条件で横浜FMジュニアユースの選手たちはどうプレーしたか。

神奈川を中心とする地域の才能が集まる横浜F・マリノスジュニアユース。そこでは自らの判断でプレーすることが要求されていた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 9月下旬――。悪天候が続いていた。通常の生活にも被害が及ぶニュースも見られるなか、屋外スポーツ引いてはサッカーの世界でもその影響が大きいことは明らかで、ピッチに立つ選手たちにとっては、普段と同様の戦い方ができなくなる。決して好ましい状況ではないが、その中でどういったプレーを選択してチームを勝利に導くかを考えるには、良い機会にもなり得る。特に、育成年代では――。
 
 9月22日の昼は、それまでの1週間を振り返っても、とりわけ強い雨風に苛まれていた。15歳以下のリーグ戦である関東ユース(U-15)サッカーリーグで首位を走る横浜F・マリノスジュニアユースと三菱養和SCの一戦は、予定通りの11時キックオフ。
 
 開始直後、雨は止んでいたが、その後天候は荒れに荒れ、ピッチは水溜り状態に。「サッカーにならないね」と三菱養和の関係者は冗談交じりに語っていたが、そんな天候下での試合を横浜FMが2-1で制した。
 
 この試合で際立ったのが、横浜FMの選手たちの対応力。2得点を挙げた中村斗星は最前線でボールを収める際に意図的にボールを浮かし、走らないピッチを回避。「水で止まってしまうので、浮かしてゴール前までボールを持っていこうかなと。それで、ゴールまで(下に)止まれば点が取れる、何かが起こる可能性も高まる」とその意図を話した。
 
 押し込まれた前半を受けて攻守に修正をかけた後半について、DFの和田昂士は「前半は押し込まれる時間帯が多かったので、(後半は)相手陣地に蹴った後のラインアップというか、(前との)距離を縮めるのを速くしようと思っていました。そしたら、後半は相手陣地でうまくプレーができた」と勝利の要因を語る。
 
 天候状況を考えれば、それぞれの対応は不思議ではないだろう。むしろ理にかなったものだ。ただ、このプレーの裏には監督の直接的な指示はなく、選手たち個人が考えた結果に生み出されたことに、少々驚いた。
 
「自分で考え続けてやりなさい、と言っています」とはチームを率いる坪倉進弥監督の言葉だ。こういうと“放任”にも聞こえるが、もちろんチームとして戦術的、技術的に要求される部分もある。だが、チームの中で強く求められているのが、この「考える」という行為であり、選手たちも成長と手応えを感じているところでもある。
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