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【揺れる大学サッカー界|後編】シーズン移行のJリーグに示した総意。主力流出の抑止力が必要、金銭的な補償を提案

カテゴリ:大学

小室功

2025年10月22日

大学の年間スケジュールの変更は非現実的

三笘(写真)や伊東、守田ら大学4年間を過ごしてからJクラブに進み、海外クラブ、日本代表へと羽ばたく選手もいる。写真:小室功

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 2024年12月19日、Jリーグのシーズン移行の実施が正式に発表された。

 その要旨は「2026年8月1週ごろに開幕。12月2週ごろから2027年2月3週ごろまでウインターブレークとし、2027年5月最終週ごろに閉幕する。シーズン移行の実施に向けて、残された課題については継続検討していく」というものだった。

 これを受ける形で、(一財)全日本大学サッカー連盟ではワーキンググループを設置。Jリーグのシーズン移行に伴う諸問題について議論を重ねてきた。同グループのメンバーは、大学サッカー界をけん引する関東と関西の2大リーグの指導者をはじめ、Jクラブに籍を置きながら大学のサッカー部監督を務める方、連盟監事であり、弁護士資格を持つ方など、多様な視点からディスカッションできる人材をそろえた。

(一財)全日本大学サッカー連盟および(一財)関東大学サッカー連盟の理事長を兼務し、流通経済大の監督でもある中野雄二が、ここまでの経過を次のように語る。

「Jリーグのシーズン移行に伴い、大学サッカー界が今後どのような影響を受けるのか、まずはワーキンググループのなかで、いろいろ検討しました。それをもって、今年8月の理事会にかけ、疑問点や質問、修正点などがあれば、さらに議論を深め、9月の理事会で大学側の総意としてまとめました。きちんと手順を踏みながら、有意義な話し合いができたのは良かったです。大学側の主張というか、要望・提案を、どこまで受け入れてくれるか、分かりませんが、こちらの総意をJリーグ側に伝えて検討してもらうことに意義があると考えています」
 
 立場が違えば、考え方も異なる。受け入れるべきところは受け入れ、主張すべきところは主張していく。創設30年を超え、新たな改革に乗り出すJリーグと、日本サッカー界の底上げに貢献を果たしてきたという自負のある大学サッカー界。双方の事情や考え方を共有し、すり合わせながら、より良い着地点を探ろうとしている。

 大学側の総意とは、一体何だろうか。そのひとつが、年間スケジュールに関する基本的な方針だった。

 来季から“秋春制”に移行するJリーグは8月に開幕し、2027年5月に閉幕予定だが、日本の教育制度は4月に始まり、3月に終わる。この日程的なズレを、どうとらえるか。中野理事長が、こう明言する。

「Jリーグにつながる日本フットボールリーグ(JFL)やその下のカテゴリーである地域リーグ、都道府県リーグは昇格、降格が絡んでくるので、Jリーグのシーズン移行に日程を合わせると聞いています。ですが、大学側としては来年度も従来どおりにやっていくことにしました」

 現在、大学サッカー界では北海道から九州までを9つの地域に分け、リーグ戦を行ない、2つの全国大会を実施している。各地域で、いわゆるサテライトリーグに相当するインディペンデンスリーグも開催。都道府県単位のリーグ戦などを含め、学生主体となって年間スケジュールが管理・運営されている。また、昨今の温暖化の影響を考慮し、真夏の約1か月間は公式戦を入れないという暑熱対策にも取り組む。

 こうした事情のなかで、Jリーグのシーズン移行に合わせるのは難しく、「従来どおり」という結論に至った。中野理事長は「将来、どうなるか、分かりません」と柔軟な姿勢を残しつつも、「海外のように9月ごろに新学期が始まるとか、日本の教育制度がガラリと変わらない限り、大学の年間スケジュールの変更は現実的ではないでしょう」と、付け加えた。
 
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