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ブロックの連動が遅れた。守備のカバーが整わなかった。パラグアイ戦の2失点を徹底考察。世界のトップレベルは一瞬の隙を見逃さない【日本代表】

カテゴリ:日本代表

河治良幸

2025年10月11日

「自分がついていかなければいけなかった」

背後を取られて先制点を献上。瀬古は相手を捕まえ切れなかった。写真:永島裕基

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[国際親善試合]日本 2-2 パラグアイ/10月10日/パナソニックスタジアム吹田

 日本代表がホームで臨んだパラグアイ戦は、2-2の引き分けという結果に終わった。最終盤に投入された上田綺世による執念の同点弾でドローに持ち込んだが、南米の強豪を相手に、特に守備面で課題を残した。

 パラグアイのシュート数は、日本のほぼ半分の6本。全体的に見れば、それほど多くのチャンスを作られたわけではない。しかし、枠内の2本がいずれもゴールに結びついた。ボランチと3バックに故障者が相次ぐなか、ラインの連動性やプレッシャーの強度が一瞬でも緩むと、南米の“個の質”は見逃さない。その現実を突きつけられた試合だった。

■1失点目――ボールホルダーへの圧力が消えた瞬間
 21分、日本は5-4-1のブロックで構えていたが、パラグアイが丁寧に繋ぎながら中盤を経由して前進。左サイドバックのアロンソから、ボランチのクバスを経て、中央のボバディジャへとボールが渡った。この段階で日本の前線からのプレッシャーはまったくかかっておらず、ボバディジャには前を向く余裕があった。

 そのボバディジャがディフェンスライン裏に浮き球の縦パスを送ると、左サイドから前線の中央に流れていたアルミロンが瀬古歩夢の背後に抜け出す。その直前、1トップのサナブリアが引く動きで、瀬古と渡辺剛が止まった瞬間、アルミロンが動き出す。そして浮き球のロングパスを左足で見事にコントロールして、至近距離でGK鈴木彩艶の反応を破った。

 瀬古は「自分がついていかなければいけなかった。ラインを止めてしまったのが悔やまれる」と振り返り、個人の判断ミスを認めた。一方でその背景には、ボランチと前線の守備がかみ合わず、相手ボランチに自由を与えていた構造的な問題もある。田中碧は「ボールホルダーにプレッシャーに行けなかった。ブロックを組んだ時に、誰がどこまで出て行くかがはっきりしていなかった」と語る。

 中盤で時間とスペースを与えた結果、最終ラインの判断に迷いを生じさせ、個の対応を難しくした典型的な失点だった。3バック中央の渡辺も「VARがないなかでは、オフサイドを狙うより、ついていく信頼関係が大事。自分の後ろを走る選手には、味方が前を見られているなら任せず、自分がついていくべき」と指摘する。ラインコントロールの迷いと、連係のズレが招いた失点だった。
 
■2失点目――連動が遅れた“前に出る守備”の裏
 64分の2失点目の場面では、相手のワンタッチパスを絡めた縦に速いパスワークに対して、守備の連動が一瞬、遅れた。左センターバックのアルデレテによる縦パスを、二列目中央のディエゴ・ゴメスがワンタッチで落とす。前に出た瀬古は潰せず、ボランチのボバディジャが前を向いてボールを持つ。

 さらにディエゴ・ゴンサレスが鈴木淳之介のプレッシャーが来る前に、ワンタッチで背後のゴメスに通す。抜け出してドリブル。渡辺が対応し、ボランチの田中が戻って寄せたが、シュートブロックのセカンドボールを右サイドバックのカセレスに拾われ、素早いクロスから巧妙に動き直したゴメスにヘッドで決められた。

 一連の流れの中で、誰がボールホルダーに寄せるか、誰がカバーに回るかの整理が遅れた。鈴木淳は「あの場面は距離感の問題。1メートルのこだわりが足りなかった」と振り返る。渡辺は「ボールホルダーにプレスがかけられなかった。フリーでクロスを上げさせてしまえば、あのレベルの相手は確実に決めてくる」と悔しさをにじませた。

 田中も「人数はかけられていたけど、最後の一息ついた感があった。ボール保持者にも行けなかったし、自分のポジションも、もう少し下がっても良かった」と、集中を切らした瞬間の隙を悔やむ。守備の局面で前に出る意識はあっても、複数人が同じテンポで動けなかったことが問題だった。
 
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