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攻撃的な選手をSBで積極起用。なでしこJ指揮官の選択が正解だったかどうかは、時間を置いて評価する必要がある【E-1】

カテゴリ:女子サッカー

河治良幸

2025年07月17日

攻撃面をアップさせていきたい目的があるのは明白

最後の中国戦は0-0でドロー。自力優勝を逃したなでしこJは3位でE-1を終えた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 ニルス・ニールセン監督が率いる日本女子代表は、E-1選手権の3試合目で中国と対戦し、スコアレスドロー。その後に同じ水原W杯スタジアムで韓国が台湾に勝利したため、当該チームの総得点で韓国、中国を下回り、3位に終わった。

 中国戦では、終盤にセンターバックから前線に上がった高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)がカウンターから惜しいシュートを放つなど、紙一重の部分はあった。しかし、全体のパフォーマンスを通して評価すると、初招集の国内組が多いチーム編成で、WEリーグMVPの山本柚月(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)を右サイドバック、中国戦の終盤は3-5-2の右センターバックとして残すなど、経験の少ない選手たちが所属クラブで出している良さを、そのまま発揮できる状況だったとは言い難い。

 確かに山本は2024-25シーズンのWEリーグで、3-4-2-1の右ウイングバックとしてブレイクした。そもそもFWだった選手を同ポジションにシフトすることで、サイドのスペースでドリブルを仕掛けたり、ゴール前に飛び出したりといった特長を発揮できる環境が、ベレーザを優勝に導く力に昇華させたところがある。

 しかし、ロングボールの対応も増える国際舞台のサイドバックというのは仕事が大きく異なり、ゴールからの距離も遠くなる分、本来の特長は発揮しにくい。右サイドバックの第一人者である清水梨紗(マンチェスター・シティ)が国際舞台で、あれだけ攻撃に関われるのも、まず守備のベースがあったところに、ビルドアップから前に出ていく攻撃の関わり方やタイミングを熟知しているためだ。

 山本に限らず、代表経験の少ない選手が慣れないポジションでやるのは、周りの選手にも少なからず影響が出る。特にセンターバックとFWの“二刀流”をこなす、キャプテンの高橋にかかる負担は非常に大きなものに見えた。

 その高橋が前線に上がった時間帯で、3バックは石川璃音(エバートン・ウィメン)を中心に、山本と嶋田華(サンフレッチェ広島レジーナ)で中国の迫力ある攻撃を粘り強く跳ね返したが、一方で攻撃面は一人ひとりの距離感が遠く、石川も「距離が遠くなって蹴るだけになってしまった」と認める。

 この短い期間で、選手の経験値、ポジションなどを考えると、今回のメンバーの総出力を発揮するには、監督の求めるものがトゥーマッチだった感は否めない。
 
 一方でこのE-1選手権を、フルメンバーのなでしこジャパンに割って入るためのサバイバルとして捉えるならば、ニールセン監督の起用法にも意図があるものとして伝わるところはある。

 たとえば山本の右サイドバックにしても、現在のなでしこジャパンに不足しているサイドバックの推進力というところで、一定の守備基準は求めながら、攻撃面をアップさせていきたい目的があるのは明白だ。

 左サイドバックにFWが本職の矢形海優(マイナビ仙台)を抜擢したことも、それに当てはまる。フルメンバーのなでしこジャパンで左サイドバックを担う北川ひかる(エバートン・ウィメン)も、元々は攻撃的なポジションの選手で、怪我で長期離脱していた遠藤純(エンジェル・シティ)もしかりだ。

 そういう意味では、山本や矢形もE-1選手権を1つの転機として、攻撃的なサイドバックとしての能力を覚醒させていく可能性は大いにあるだろう。ただ、日頃から置かれた環境が、WEリーグとなでしこジャパンでは大きく異なる部分もあり、今回の経験をそのまま還元していくことは難しい。

 台湾戦では左ウイングで躍動した山本が、韓国戦や中国戦でもウイングで起用されていたら、どういう活躍を見せていたのかを想像すると、もどかしいところもある。ただ、ニールセン監督の選択が正解だったかどうかは、少し時間を置いて評価する必要がある。
 
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