水沼宏太は2025年１月、横浜F・マリノスからオーストラリアのニューカッスル・ジェッツに移籍した。35歳になる直前、プロ18年目にして初の海外挑戦だった。

　元日本代表MF水沼貴史氏の長男である水沼は、父が偉大な足跡を残したマリノスでプロキャリアをスタート。それ以来、栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、セレッソ大阪と渡り歩き、2020年から再びトリコロールを着て戦っていた。

　母国を離れ、異国で何を感じたのか。海外での１シーズン目を終えた今、さすらいの元気印にじっくり話を訊いた（第５回／全７回）。

【#１】急にではない。ずっとあった。水沼宏太が詳細に明かした豪州移籍の背景「やっと来たな」「ルーマニアでの経験を基にとにかく――」

【#３】「やっぱり行ってみないと分からない」「あっ、俺って…」35歳のルーキー水沼宏太のとにかく刺激的な海外初挑戦。リーグに満ちる「これから」

【#４】「ただいるだけじゃ喋れるようにはならない」目から鱗！34歳で海を渡った水沼宏太のアタッキング精神。前後で明確な変化「かぶれてんじゃん俺！(笑）」

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　以前、ニューカッスル・ジェッツ在籍経験のある齋藤学（現アスルクラロ沼津）を取材する機会があった。その際にオーストラリア国内でのサッカー事情を訊くと、次のような答えが返ってきた。

「やっぱり国民性として、ラグビーやクリケットだったり、オーストラリアンフットボールがメジャースポーツの１、２、３位に入ってくる。日本や韓国みたいに、サッカーがメジャースポーツで、１、２を争うわけじゃないんですよ。お客さんがすごく多いかって言われたらそうでもないですし。サッカーをしてるけど、文化的なものも含めて、ラグビーをしてるかのような…。プレーの仕方などはやっぱり違います。サッカーでも国によってこれだけ文化が違うんだなとすごく思いましたね」
 

　この発言を水沼に伝えたうえで、同様の質問をぶつけてみた。やはりサッカーが１番人気ではないにせよ…熱は確かにあるようだ。

「どうなんですかね。代表戦は絶対満員になっているので、男子も女子もすごく人気です。でも国技的な立ち位置は、オーストラリアンフットボールです。オーストラリアンって言うぐらいなので。それがすごく人気だなって、改めて向こうのメディアとかを通して感じるので、そこに比べたら足りない部分はあるかもしれないですね」

　ニューカッスルの本拠地のキャパは、約３万人。Aリーグの試合の際には、「6000人から7000人ぐらい」が訪れるという。

「やっぱりオーストラリアって、オーストラリアンフットボールやラグビー、クリケットがすごく人気で、サッカーはその後ぐらいの立ち位置です。だけど、サッカーをやっている子がすごく多いので、これからサッカーの文化も根付いていくんじゃないかなと期待できます。

　それに僕らの本拠地は３万人が入る素敵なスタジアムです。満席ではないですが、散りばめられて座っているし、何か起きた時の盛り上がりは、外国特有の盛り上がりがあるので、それ以上に入ってるんじゃないかって気分にさせてくれるような盛り上がりがあります」