【EURO2016】ベルギーの豪華タレント陣を完封した、イタリアの古き良き伝統と美学

カテゴリ:国際大会

白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

2016年06月14日

イタリア人カメラマンでさえも「さすがに今回は弱すぎる……」と嘆く。

しぶとく耐え凌いで守り、一瞬の隙を突いて2ゴール。まさにらしい展開でイタリアはベルギーを下した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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「史上最弱のアッズーリ」
 
 EURO2016開幕前、誰もがそう囁いていた。ただでさえタレント不足が叫ばれる中で、クラウディオ・マルキージオとマルコ・ヴェッラッティという中盤のキーマンも怪我でエントリーできず。EURO2016では“死の組”のグループEに組み込まれ、グループステージ敗退もありえると、そんな見方も少なくなかった。
 
「イタリアは逆境でこそ力を発揮する」とも言われるが、リヨンのパルク・オランピック・リヨネで会った旧知のイタリア人カメラマンでさえも、「さすがに今回は弱すぎる……」と嘆いていた。
 
 6月13日の初戦、対峙したのはベルギー。エデン・アザール、ケビン・デ・ブルイネ、ロメル・ルカク、アクセル・ヴィツェルなどを擁し、優勝候補にも挙がるタレント軍団だ。いわゆる個のクオリティーでは、完全に見劣りする。
 
 実際、ベルギーの選手たちが正確かつ華麗にボールをコントロールする一方で、イタリアの選手たちは大半がプレッシャーに晒されると簡単にボールを失った。しかし、リヨンで凱歌を上げたのはイタリアだった。しかも、2-0の完勝だ。
 
 個々のテクニカルなクオリティー差を埋めたのは、卓越した戦術、試合巧者ぶり、そして守り切るカルチャー、つまりはカルチョの美学であり伝統だった。
 
 戦術は攻守ともにすこぶる機能した。アントニオ・コンテ監督の3-5-2システムは、両サイドハーフが守備の局面ではサイドバック、攻撃の局面ではウイングになる部分に最大の特長がある。ボールを持つと前線は4トップ(2トップ+両サイドハーフ)になり、敵の4バックと1対1の関係に。そこから先は、あらかじめ決められた連携パターンで崩しにかかる。ベルギー戦ではこれが面白いように決まり、相手の最終ラインの裏を何度も何度も突いた。
 
 ディフェンスではチームの重心を下げながらも全体のコンパクトネスを保ち、3バック+アンカーのダニエレ・デ・ロッシを中心にベルギー攻撃陣にスペースと自由を与えない。アザールやデ・ブルイネに得意のドリブルで守備網に亀裂を入れられてもすぐさまカバーに入り、シュートを撃たれても最低1人、多ければ2、3人が必ず身を投げ出して防いだ。コースにしっかり足を入れるそのシュートブロックは、もはや芸術の域だった。
 
 この日浴びたシュートは18本。しかし、枠外は6本、枠内は2本、そしてブロックは10本だ。こんな芸当ができる守備陣は、世界中を探してもイタリアだけだろう。もっとも危険だった20分のラジャ・ナインゴランの際どいミドルシュートは、守護神ジャンルイジ・ブッフォンが横っ飛びでしっかり弾き出した。
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