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「全然足りないことが分かりました」選手権を前に突きつけられた現実。堀越の“DFW”森奏はさらなるスキルアップに貪欲

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2024年12月19日

巧みなループで一矢報いる

恵まれたサイズとインテリジェンスを武器にDFとFWで活躍する森。写真:安藤隆人

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 第103回全国高校サッカー選手権の東京B代表の堀越高は、選手権を前に厳しい現実にぶつかった。12月16日に行なわれたプリンスリーグ関東2部参入決定戦で日体大柏に1-4で完敗し、来季のプリンス関東2部昇格を逃した。

「はっきり言えば自分の弱さ、現実が見えた試合。チームとしてももっと成長しないといけないと感じられた試合でした」

 試合後、こう唇を噛んだのはDF森奏。182センチのサイズを持ち、昨年からディフェンスリーダーとして最終ラインを統率するCBは、この試合で相手のエースストライカーの小泉ハーディら日体柏のアタッカー陣の前からのプレスと、身体能力を活かした力強い突破の前に対応が後手に回った。

 前半で3失点し、後半に森はFWにポジションを変えると、自らのゴールで1点を返したが、その後の4失点目で万事休す。

「個人もチームも含めて課題は適応力。これまでは自分たちがボールを握る展開が多かったなかで、今日は相手がガッチリとブロックを作って構えながら、前からどんどんプレッシャーをかけてくるチームだったので、そこをうまく回避できなかったのもあるし、チームのリズムを変えられなかった。

 立ち位置の修正をうまくできなかったのが1、2、3失点とどんどん重ねた原因でした。相手がやってくることをすぐに察知しないといけない。それができなかったのは、試合にうまく入れていなかった証拠。もっと早く適応しないといけないと思っています」

 確かにこのゲームは完敗だったが、負けた直後にこうして課題を具体的に口にできるフットボールインテリジェンスの高さに森の魅力を感じた。この試合で挙げた1ゴールにもその魅力が詰まっていた。

「センターバックをやりながら相手の最終ラインの守備の仕方を見ていたので、フォワードになった時に動きやすかったし、狙う場所が明確になって点を取ることができました」
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 相手の守備のやり方を洞察した結果、最終ラインが背後へのボールに対して、一発で弾こうとする傾向にあることを見抜いた。FWになると、ロングキックやクロスに対していち早く落下地点に入り込んで、競り合うことで簡単に弾かせないようにした。

 ゴールシーンは、ロングボールに反応して相手のCBと競り合ってから入れ替わり、そのままGKとの1対1に持ち込んで、飛び出してきたGKをよく見てループシュートで決めたものだった。

 思えば昨年もCBをメインとしながら、チーム状況によってFWで起用され、両方のポジションで高い駆け引きを見せていた。前回の選手権でも全試合にフル出場し、ベスト4への快進撃のきっかけとなったチームのオープニングゴールを決めている。

「昨年の選手権の経験は大きなプラスとなりましたし、今年もその基準を大事にしてやってきましたが、今日でそれが全然足りないことが分かりました。小泉ハーディ選手のような技術とサイズ、身体能力を持つフォワードを止められるようにならないと、目標であるプロサッカー選手になるとも簡単には言えないし、入ってもやっていけない。そういう相手を完全に封じてこそ、良いディフェンダーだと思うので、選手権まであと2週間ですが、この時間でもスキルアップすることに貪欲に取り組んでいきたいです」

 卒業後は強豪大学に進んでサッカーを続けることが決まっている。4年後のプロ入りを目ざす前に、選手権で「この負けがあったからこそ今がある」と胸を張って言えるように。経験を力に変える男は、さらに成長した姿を選手権の舞台で見せる。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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