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帝京が15年ぶりに選手権の舞台へ。全国準優勝を経験した元キャプテンが新監督に就任、“カナリア軍団”はいかにして復活を遂げたのか

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2024年11月18日

“自然体”でサッカーと向き合い、ポゼッションスタイルを追求

15年ぶりの選手権出場を果たした帝京。主将の砂押は「涙が出てきた」と安堵。写真:松尾祐希

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 最後に選手権に出場したのは2009年度。古沼貞雄氏(現・矢板中央高サッカー部アドバイザー)の下で1980年代から2000年代初頭にかけて全国を席巻した“カナリア軍団”が、これほどまでに苦しむとは誰も予想していなかっただろう。

 あれから15年。選手権優勝6度を誇り、佐々木則夫(元なでしこジャパン監督、現・JFA委員長)、中田浩二(元鹿島ほか、現・鹿島フットボールダイレクター)など名だたる名選手、指導者を排出してきた帝京が冬の大舞台に帰還する。

 11月16日、高校サッカー選手権の東京都予選A決勝が行なわれ、帝京は國學院久我山と対戦。0-1で迎えた前半34分にFW森田晃(3年)が裏抜けから同点ゴールをマークすると、試合終了間際の後半39分にFW土屋裕豊(3年)がPKを決めて歓喜の瞬間を迎えた。

 振り返れば、“冬の時代”が長く続いた。04年度いっぱいで古沼氏が離れると、徐々にチームは低迷。選手権は09年度、インターハイは10年以降、出場できていなかった。

 そうした状況下でチームの再建を託されたのが、OBの日比威氏だった。91年度に選手権で優勝した際のキャプテンが14年にコーチに就任。翌年には荒谷守元監督からバトンを受けて監督の座を引き継ぐと、トレーニング時間はマックスでも120分に抑えるなど、独自のカラーを打ち出しながらチーム再建に尽力した。

 なかなか勝てない時期が続いたが、18年度には三浦颯太(川崎)らを擁して東京都リーグ1部を制覇。19年度からは14年ぶりとなるプリンスリーグ関東に参戦するなど、いつ悲願の選手権復帰を果たしても不思議ではなかった。
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 だが、現実はそう甘くはない。18年と19年は決勝で敗戦。以降は早期敗退や準決勝敗退を繰り返す。リーグ戦で結果を出し、21年にはインターハイで準優勝を果たしても、関東近郊のJクラブの育成組織に所属する選手たちを獲得できるようになっても、選手権の舞台には届かない。

 迎えた今季。復活の礎を築いた日比氏が母校・順天堂大の監督に就任したため退任。98年度の選手権で全国準優勝をキャプテンとして経験している藤倉寛氏が新たに指揮官となった。

「何年ぶりの出場とかは意識させないようにしていた」と藤倉監督が話した通り、前任の日比氏が培ってきた技術力を活かしたサッカーをベースとしつつ、過去の歴史に良い意味で捉われないことを求めた。

“自然体”でサッカーと向き合い、今夏はインターハイにも出場。2回戦で敗れたものの、昨季からのレギュラーであるGK大橋藍(3年)や、187センチの大型CBで高校2年次に川崎U-18から加入したU-18日本代表CB田所莉旺(3年)を軸に粘り強い戦いを展開していく。

 攻撃陣もフィジカルの強さに定評があるFW森田や、キャプテンでゲームメーカーのMF砂押大翔(3年)を中心にポゼッションスタイルを追求し、そしてついに選手権への切符を手にした。

 だが、戦いは終わりではない。「涙が出てきた」と砂押が優勝決定時の心境を振り返ったように安堵した気持ちはあるが、選手たちは次の戦いに向けて士気を高めている。

「優勝しか考えていない」とはキャプテンの言葉。“新生カナリア軍団”の新たな伝説はここからがスタートだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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