ハリルホジッチ監督の理想を体現することは、ミッションインポッシブルか。
[キリンカップ]日本代表 1-2 ボスニア・ヘルツェゴビナ代表
6月7日/市立吹田サッカースタジアム
ホームなのだから、きっちり勝ってくれよ、というのが本音である。ハリルホジッチ監督がテストではなく「勝ちに行く」と明言して敗れたということは、これが日本の今の実力なのだろう。
EURO2016の本大会にも出られないボスニア・ヘルツェゴビナ、しかも“2軍”に近いメンバーに敗れた事実は看過できない。サポーターの圧倒的な後押しがありながら、高さとフィジカルの強さに多くの局面で太刀打ちできなかった様は、種目は違えどリオ五輪出場を逃がした日本男子バレー代表と被るところがあるだろう。
いずれにしても、ハリルジャパンの守備陣はボスニア・ヘルツェゴビナの高さに対抗できず、カウンターを食らった局面でも1対1の弱さを露呈。「今に始まったことではないが」と、CBの吉田も長身FWを抑え切れなった点を猛省していた。
「ああいう選手に苦戦を強いられるケースが多い。ピッチ上でも話し合ったが、どう対応していくかをもっと突き詰めないといけない。アジアの戦いでもオーストラリアがそうだし、帰化選手がいる国もあると思うので、こういった苦しい状況は起こり得る。ワールドカップに出てヨーロッパのチームと戦う時でも課題になる」
さらにキャプテンの長谷部も、フィジカルの部分でハリルジャパンが劣っていたことを認めている。
「失点は簡単にやられすぎましたし、誰の責任というよりはチームとして守備の面でなかなか行き切れていない部分がありました。特にフィジカルの部分、フィフティフィフティのボールに関しては7、8割向こうに拾われていましたし、そういう局面での1対1で負けていたらサッカーにならない」
課題は分かっていても、なかなか修正できないのが日本の現状だ。3月のシリア戦でも、先のブルガリア戦でも、そしてこの日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でもあっけなく決定機を作られているシーンが多かった。
CBのレベルアップが急務と言えばそうなのだが、そう簡単に解決できる問題ではない。例えば吉田や森重を他の誰かと入れ替えたところで、守備が強くなるわけではない。言ってしまえば、世界的なアタッカーと個の力で勝負できるCBがいないように映る。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で西川の好セーブがなければあわや失点という場面がいくつもあった点からも、CBの貧弱さは分かるのではないだろうか。
やはり、日本が欧州勢など世界の強豪を無失点に抑えるには2010年ワールドカップのような戦い方──専守防衛のスタイルが求められる。高さに強い闘莉王や中澤のようなCB、バランス感覚に優れた阿部のようなアンカーを軸に、引いて組織的に守るやり方がベターなはずだが、ハリルホジッチ監督はそうしたリアクションサッカーを好まない。
ただし──。「デュエル(決闘。1対1の強さ)の部分を強くしたい」、「勝つ文化を植え付けたい」というハリルホジッチ監督の理想を体現することは、ミッションインポッシブルに映ってしまう。ボスニア戦を見るかぎり、むしろ球際の弱さを露呈し、それが劣勢を強いられる原因になった。先制しながら簡単に逆転を許してしまうあたりに、勝負弱さが見え隠れする。
6月7日/市立吹田サッカースタジアム
ホームなのだから、きっちり勝ってくれよ、というのが本音である。ハリルホジッチ監督がテストではなく「勝ちに行く」と明言して敗れたということは、これが日本の今の実力なのだろう。
EURO2016の本大会にも出られないボスニア・ヘルツェゴビナ、しかも“2軍”に近いメンバーに敗れた事実は看過できない。サポーターの圧倒的な後押しがありながら、高さとフィジカルの強さに多くの局面で太刀打ちできなかった様は、種目は違えどリオ五輪出場を逃がした日本男子バレー代表と被るところがあるだろう。
いずれにしても、ハリルジャパンの守備陣はボスニア・ヘルツェゴビナの高さに対抗できず、カウンターを食らった局面でも1対1の弱さを露呈。「今に始まったことではないが」と、CBの吉田も長身FWを抑え切れなった点を猛省していた。
「ああいう選手に苦戦を強いられるケースが多い。ピッチ上でも話し合ったが、どう対応していくかをもっと突き詰めないといけない。アジアの戦いでもオーストラリアがそうだし、帰化選手がいる国もあると思うので、こういった苦しい状況は起こり得る。ワールドカップに出てヨーロッパのチームと戦う時でも課題になる」
さらにキャプテンの長谷部も、フィジカルの部分でハリルジャパンが劣っていたことを認めている。
「失点は簡単にやられすぎましたし、誰の責任というよりはチームとして守備の面でなかなか行き切れていない部分がありました。特にフィジカルの部分、フィフティフィフティのボールに関しては7、8割向こうに拾われていましたし、そういう局面での1対1で負けていたらサッカーにならない」
課題は分かっていても、なかなか修正できないのが日本の現状だ。3月のシリア戦でも、先のブルガリア戦でも、そしてこの日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でもあっけなく決定機を作られているシーンが多かった。
CBのレベルアップが急務と言えばそうなのだが、そう簡単に解決できる問題ではない。例えば吉田や森重を他の誰かと入れ替えたところで、守備が強くなるわけではない。言ってしまえば、世界的なアタッカーと個の力で勝負できるCBがいないように映る。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で西川の好セーブがなければあわや失点という場面がいくつもあった点からも、CBの貧弱さは分かるのではないだろうか。
やはり、日本が欧州勢など世界の強豪を無失点に抑えるには2010年ワールドカップのような戦い方──専守防衛のスタイルが求められる。高さに強い闘莉王や中澤のようなCB、バランス感覚に優れた阿部のようなアンカーを軸に、引いて組織的に守るやり方がベターなはずだが、ハリルホジッチ監督はそうしたリアクションサッカーを好まない。
ただし──。「デュエル(決闘。1対1の強さ)の部分を強くしたい」、「勝つ文化を植え付けたい」というハリルホジッチ監督の理想を体現することは、ミッションインポッシブルに映ってしまう。ボスニア戦を見るかぎり、むしろ球際の弱さを露呈し、それが劣勢を強いられる原因になった。先制しながら簡単に逆転を許してしまうあたりに、勝負弱さが見え隠れする。