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ドーハの悲劇から31年、アル・アハリ・スタジアムの今。負のイメージは払拭されたかもしれないが、忘れてはいけない偉大な先人が紡いだ歴史【コラム】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年10月27日

“当事者”山本NDは感慨深そうにピッチを歩く

ドーハの悲劇で知られるアル・アハリ・スタジアム。日本サッカーにとっては特別な意味を持つ場所だ。写真:松尾祐希

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 来秋のU-17ワールドカップを目ざす若き日本代表が、カタールで開催されているU-17アジアカップ予選を戦っている。同予選を勝ち抜けば、W杯のアジア最終予選を兼ねる来年2月の本大会に出場する。

 日本の未来を担う選手たちの戦いに注目が集まる一方で、今予選のトピックとして触れておきたい事象がある。10月23日のネパール戦(9-2)、25日のモンゴル戦(7-0)の試合会場は、あの“ドーハの悲劇”の舞台となったアル・アハリ・スタジアムだった。

 1993年10月に行なわれたアメリカW杯のアジア最終予選。日本代表はグループ首位でイラクとの最終戦を迎える。初のW初出場は目前に迫っていた。しかし、試合は終了間際の失点で2-2のドロー。この結果、日本は3位に転落。出場権が与えられる上位2か国に入れなかった。

 2008年生まれ以降の選手で構成されるU-16日本代表にとって、“ドーハの悲劇”は生まれる前の話。その事実は知っていても、アディショナルタイムにショートコーナーから同点弾を決められるという詳細まで知る者はほとんどいないだろう。

 一方で、コーチングスタッフは鮮明に覚えており、当時高校生だった廣山望監督も「思うところはありますね」と話す。団長の山本昌邦ナショナルチームダイレクターは唯一“ドーハの悲劇”を現場で味わった人物で、「現地にいましたよ。あれから30回くらいはカタールに来ているけどね」という。

 モンゴル戦でウォーミングアップがスタートする前、誰もいないピッチの周りを山本ダイレクターが歩いていた。その姿はどこか感慨深そうで、当時の記憶を掘り起こすようにも見えた。
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 その一方で、スタジアムの雰囲気は当時の面影をわずかに残すだけで真新しさを感じさせる。

 2015年にスタジアムは改修。陸上トラックがあるのは31年前と変わらないが、スタンドは一新。メイン側にはホームとしているアル・アハリのオフィシャルグッズストアがあり、カフェなども併設されている。エントランスにはカタール最古のクラブとあってトロフィーがずらりと並ぶ。

 2022年のカタールW杯ではコスタリカ代表がトレーニングで使用したが、近年はハリーファ国際スタジアムなどが建設されたため、アル・アハリ・スタジアムがAマッチの舞台になることはほぼない。

 それでも、日本サッカーにとってこのスタジアムは、ドーハは特別な場所であることに変わりはないと思う。

 2011年のアジアカップ優勝、22年のカタールW杯ではドイツとスペインを破った。歴史に刻まれる悲劇はあった地だが、負のイメージはすでに塗り替えられたかもしれない。

 ただ、31年前、ここで世界の舞台を目ざして偉大な先人たちが必死に戦った。あと一歩でW杯出場を逃した絶望感、言葉にできない悔しさ。その歴史があって今があることは、忘れてはいけないと思う。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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