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[本田泰人の眼]谷口彰悟のオウンゴールに3つの疑問符。一方で初めて“追う立場”になってテストできたこともある

カテゴリ:日本代表

本田泰人

2024年10月18日

オーストラリアのパワーと高さにはね返されるばかり

痛恨のOGで先制点を献上した谷口。でもそれ以外のプレーは安定していた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2026年北中米ワールドカップのアジア最終予選第4戦。日本は10月15日にホームでオーストラリアと対戦し、1-1で引き分けた。

 元日本代表で鹿島アントラーズのレジェンド、本田泰人氏は、この試合をどう評価したか。

――◆――◆――

 まさかの展開だった。

 0-0で迎えた58分、ルイス・ミラーのクロスボールに対して、ペナルティボックスにいた谷口彰悟がまさかのクリアミス。ボールは日本のゴールネットに吸い込まれていった。このオウンゴールによって、日本の勢いは止まるかもしれないと思った。

 日本はせっかく開幕戦から無失点できていて、しかも前節は鬼門のアウェー・サウジアラビア戦で2-0の勝利を収め、「アジアに敵なし」と言ってもいいくらい大きな自信を手にしつつあった。

 今大会のオーストラリアは、開幕2試合で1分1敗、10月19日にグラハム・アーノルド監督が辞任。トニー・ポポヴィッチ新監督にバトンタッチし、前節の中国戦は3-1の逆転勝利で今大会初白星を手にしたばかり。

 対する日本は最終予選3試合で計14得点・無失点。グループのライバルとはいえ、ホームでは負けは許されないし、6月に3バックを導入してからは、鉄壁の守備を武器に安定した強さを見せていた。

 オーストラリア戦はキャプテンの遠藤航が体調不良で離脱したとはいえ、チームの勢いやタレントなどを比べても、日本が快勝するものだと思っていた。
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 この日、オーストラリアは試合前からアクシデントに見舞われた。宿舎から会場の埼玉スタジアムへ向かうバスが事故渋滞に巻き込まれ、会場に到着したのは試合開始から約50分前。「流れ」も日本にあるはずだったが、蓋を開けてみたら、日本は立ち上がりから5バックで引いて守るオーストラリアに苦戦した。

 日本はオーストラリアに対し、ボール支配率で66%対34%、シュート数も12本対1本と数字上は圧倒した。右サイドでは久保建英と堂安律のコンビネーションでクロスを上げたり、左サイドでは三笘薫がドリブル突破を何度も仕掛けたりしたが、引き分け狙いだったのか、割り切って5-4-1で守り続けたオーストラリアのパワーと高さにはね返されるばかりだ。

 1点が奪えずにいたところで、冒頭の失点シーンを迎えたのだ。

 このオウンゴールはアクシデントという言葉で片付けてはいけない。事故ではなく、谷口の完全なミスによるものだと思う。

 谷口はなぜオウンゴールをしたのか。3つの疑問符がつく。

・相手の選手が近くにいたわけでもないのに、なぜ焦ってクリアしようとしたのか?
・相手のクロスは難しいものではないのに、なぜ右足で強引にクリアしようとしたのか?
・クロスボールが上がった瞬間、なぜ谷口の身体の向きは悪かったのか?

 そもそも、しっかりクリアできなかったのは技術的なミスだ。焦ってクリアしなくても、後ろに板倉滉がいたから、無理に右足を出さなくても良かった。身体の向きを考えても右足ではなく、左足でクリアすべきだった。いずれも判断ミスだろう。

 加えて、クロスボールが上がった瞬間、谷口の身体の向きは悪かった。クロスボールが来る準備を怠っていたと言われても仕方がない。これも「クロスを上げてこないだろう」という判断ミスではないか。

 これまで谷口は最終予選を通して非常に良いプレーをしていたし、この日もオウンゴール以外は目立ったミスはなかったし、パフォーマンスは安定していた。でも、ベテランらしくないワンプレーで最終予選での初失点に関与。チームの流れ・勢いを止めてしまった感はある。

 これがワールドカップの本大会だったら...そう考えると、ディフェンダーというポジションは一つのミスが失点につながるし、負けにつながる。厳しいことを言うけれど、谷口ほどのベテランだからこそ、絶対にやってはいけないミスだ。

 谷口自身も試合後に反省の言葉を述べていたように、本人が一番悔しいはずだ。日の丸をつけているのだから、一つのミスも許されないという覚悟を、改めて見つめ直してほしいと思う。
 
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