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市立船橋で一時代を築いた名将が高校サッカー界で再出発。朝岡隆蔵監督がふたば未来学園で描く新たな未来

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2024年06月10日

市船では選手権やインターハイで優勝に導く

今年4月に、ふたば未来学園の監督に就任した朝岡氏。「この話を断ったら後悔するだろうなと思った」という。写真:松尾祐希

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 都内から車で約3時間。福島県のいわき市を越え、さらに奥にある広野町で新たなスタートを切った男がいる。市立船橋で一時代を築き、今年4月から、ふたば未来学園で監督を務めている朝岡隆蔵氏だ。

 現役時代は布啓一郎監督が率いる市立船橋でプレーし、同校初となる選手権優勝に貢献。日大に進学し、卒業後は指導者の道に入った。

 教員として子どもたちと向き合う日々を過ごしながら、千葉県内の公立中学や高校さらには私立高校やクラブチームで監督、コーチを歴任。そして、2008年に母校の教員となり、石渡靖之監督(現・東邦総監督)のもとでコーチとして強化に携わった。

 11年に指揮官となり、就任1年目にいきなり選手権を制覇。ここから黄金時代を築き上げ、13年と16年にはインターハイで全国優勝に導き、選手に寄り添った指導をベースに辣腕を振るった。

 また、多くの選手をプロの世界に送り込んできた。就任1年目の選手権制覇に経験したMF和泉竜司(名古屋)はその代表格。16年度のインターハイ制覇に貢献したDF杉岡大暉(湘南)、DF原輝綺(清水)の代は最もインパクトがあり、同年の選手権本大会1回戦・京都橘戦で先発した11人のうち、杉岡と原を含めて実に7人の選手がJリーガーになった。

 19年度いっぱいで退任したため、2年次までしか指導できなかったが、DF畑大雅(湘南)、MF鈴木唯人(ブレンビー)も教え子だ。

 市立船橋を去ってからは新たな道へ進み、19年4月に千葉U-18の監督に就任。Jクラブの育成組織で経験を積み、昨年は中国の成都市サッカー協会アカデミーU-18で指揮を執った。
 
 そして朝岡氏は今年の4月から日本サッカー協会の派遣で、ふたば未来学園の監督に就任し、再び高校サッカーの世界に舞い戻った。

「いつかトップチームの指導に関わりたいとの思いもありましたが、高校年代での指導を長くやってきたので、違うカテゴリーに関わりたいと大学も視野に入れ、多くの方に相談に乗っていただきました。そんな時に日本サッカー協会の信頼する方からこの話を頂きました」

 なぜ、高校サッカーに戻ることを決断したのか。朝岡氏は言う。

「複数の関係者と様々な選択についてお話を進めてはいたが、具体的なオファーとしては一番早かったこと、また、日本サッカー協会には、ライセンス講習の同期や多くの仲間もおり、さらには代表選手の派遣等で多くの方と交流があったことも大きいです。しかし一番は信頼する方から直接オファーを頂いたことが決断の一番の理由になります」

 高校サッカーではない世界で勝負する意向を持っていたため、葛藤もあった。だが、後悔はしたくなかった。

「決断するまでに1か月くらい頂きました。それでも待って頂けるとのことで、その『人の思い』に応えたい。そして、ふたば未来学園についても調べ、日本サッカー協会と福島県の共同事業・プロジェクトに関わる背景や歴史を知り、ここでも『人の思い』を感じることができました」

 S級ライセンスを保持しており、大学サッカーだけではなく、プロの世界で勝負する道もあったはず。それでも将来的に日本サッカー協会の仕事に関わることができる可能性も含め、信頼する方からの誘いとプロジェクトから感じた『人の思い』は魅力的で朝岡氏の心を揺さぶった。

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