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「偉大な監督も途中解任を経験している、とても厳しい仕事」鳴り物入りで23年にJ3相模原の指揮官に就任。戸田和幸が味わった挫折とは?

カテゴリ:Jリーグ

元川悦子

2024年05月08日

若い人材中心なら、伸びしろは無限大

相模原で就任2年目を迎えた戸田監督。今季こそJ2復帰へと導けるか。写真提供:SC相模原

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 今季からJ2昇格プレーオフが導入され、格上リーグ行きのチャンスが広がった2024年のJ3。目下、降格組の大宮アルディージャが首位を独走中で、アスルクラロ沼津、FC大阪、AC長野パルセイロらが上位争いを展開している。

 そこで今、改めて2023年J3を振り返ってみると、昇格は2枠という狭き門。それを愛媛FCと鹿児島ユナイテッドFCが手にしたわけだが、同時にJFL降格も導入されたため、下位争いも熾烈を極めることになった。

「JFL降格は絶対に回避しなければならない」と危機感を募らせるクラブが増えた結果、シーズン中に11クラブの監督が交代。福島ユナイテッドFCの服部年宏監督(現今治)、鹿児島の大嶽直人監督(現FC大阪)、いわてグルージャ盛岡の松原良香監督といった知名度の高い指揮官が続々と解任された。

 最終的にJFL側の昇格チームがなく、J3からは1チームも落ちずにすんだが、「下への恐怖」は今季も色濃く感じられる。

 2023年に鳴り物入りで就任したSC相模原・戸田和幸監督もそこに苦しんだ1人だろう。戸田体制1年目の相模原は序盤から低迷し、残留争いに巻き込まれた。

 前半戦終了時点(19節)では2勝8分9敗の勝点14でまさかの最下位。「選手の頃から“理論派”と言われ、解説者時代も突出した分析眼で名を馳せていた元日本代表の戸田監督がこんなにも勝てないとは...」と多くの関係者やサポーターからも驚きの声が挙がったほどだ。

「(3月19日の第3節・カマタマーレ)讃岐戦から(7月9日の第17節・)FC大阪戦まで15試合未勝利というのは、本当にタフな期間でした。プロの世界で生きていくだけの覚悟と資格があるかどうか、自分自身が試されていると思いました。

 ただ、サッカー監督の世界は勝ち負けで評価されるのがほとんど。ジョゼ・モウリーニョやカルロ・アンチェロッティ(現レアル・マドリード)といったフットボールの歴史に名を残す偉大な監督も途中解任を経験している、とてもとても厳しい仕事。

 そんな弱肉強食な世界ですから、駆け出しの自分はなおのこと、求められる結果を残せなければ、いつそうなってもおかしくない。そう腹をくくって、僕はプロクラブでの監督業を始めました。

『誰かが自分を褒めてくれている』『前向きに評価してくれている』という安心材料を探すのも良くないと思って、相模原に行く前にSNSを全てやめました。成果を挙げられなければその職を追われる、シンプルではありますが、その覚悟を持って臨んでいたので、勝てずに苦しんでいた時期が長かったのですが、覚悟は持てていたので、選手たちを信じて努力し続けることだけに集中できましたし、勝てないことで自分自身がブレることはなかった。

 目の前の選手と試合に一つひとつアプローチしていくしかないと脇目も振らず、やるべきことに取り組めていました」と、戸田監督は1年前の偽らざる本音を吐露する。
 
 昨季の相模原が先を見据えたチーム編成だったことも、指揮官を前向きにさせる1つの要素になっていた。若い人材中心なら、伸びしろは無限大。その環境を生かすか殺すかも自分次第だと捉えられれば、意欲を持って挑めるからだ。

「2023年スタート時の相模原は高卒・大卒などプロ1年目の新人が6割以上を占めるチームで、プロキャリア2~3年で戦力外経験のある選手も多かったので、プロとしての成功体験を持つ選手がほぼいなかったんです。

 だから、内容的には悪くなくても、攻撃のスローインからカウンターを受け、失点して負けてしまったり、ワンプレーで流れが変わって崩れてしまったり、決定機は作れてもなかなか決めきれずに1点差で負けるといった試合がすごく多かった。サッカーというのはディテールの積み重ね。そこをより強く認識しないといけないと自分を含めて痛感したし、それを踏まえながら土台作りを進めないといけないと思ったんです。

 若く、これからの選手たちだったからこそ、個人個人と向き合い、得意な部分はもっと得意になれるようにして、苦手な部分にもチャレンジさせることを大事にしました。1人1人を伸ばすことが、結果的に勝てるチームを作ることにつながる。僕はそう信じて、アプローチを続けました」と、戸田監督は神妙な面持ちで言う。

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