8月の3連勝、9~10月にかけての5戦無敗
こうしたなか、指揮官が特に重要視したのが、オフ明けのミーティングだという。結果が出ていない時期というのは、敗戦の後、重苦しい状態で次の1週間を迎えることになる。そこでしっかりと切り替え、新たなマインドセットを持つことが必要不可欠。彼はそう考えたのだ。
「ミーティングの時間は30分程度で、動画を使って直近の試合の振り返りから入って、できている部分、まだできていなくても努力を続ければできるようになる部分を認識させました。『若く未来のある選手だからこそ、課題にも積極的にアプローチしよう』『自分らしさを忘れずにプレーを続けていくことが大事』といった声掛けもしつつ、何とかして前向きなムードを作れるよう努力しました。
ご存じの通り、僕は前職で解説者をやっていたので、『伝える』ことについては数多く、それも不特定多数の人たちを相手に実践することができた。その経験を活かしながら、一生懸命、選手の顔を見ながら話をしましたね。
選手というのは、やはりネガティブな気持ちを引きずっていたら、トレーニングをしても成果が出にくいですし、自信も生まれない。メンタル面を奮い立たせる意味でも、週頭のミーティングでは前の試合からポジティブな要素を抜き出して伝えることに注力しつつ、試合に勝てず落ち込んでいる気持ちをもう一度前向きなものにして、チームの士気を少しでも高められるように、一生懸命努力しました」
地道な努力に加え、夏の岩上祐三や瀬沼優司といったベテラン選手の補強もプラスに働いた。後半戦の相模原は8月の3連勝、9~10月にかけての5戦無敗など確実にチーム状態が上向き、シーズン終了時には勝点41の16位まで順位を上げることができた。
「ミーティングの時間は30分程度で、動画を使って直近の試合の振り返りから入って、できている部分、まだできていなくても努力を続ければできるようになる部分を認識させました。『若く未来のある選手だからこそ、課題にも積極的にアプローチしよう』『自分らしさを忘れずにプレーを続けていくことが大事』といった声掛けもしつつ、何とかして前向きなムードを作れるよう努力しました。
ご存じの通り、僕は前職で解説者をやっていたので、『伝える』ことについては数多く、それも不特定多数の人たちを相手に実践することができた。その経験を活かしながら、一生懸命、選手の顔を見ながら話をしましたね。
選手というのは、やはりネガティブな気持ちを引きずっていたら、トレーニングをしても成果が出にくいですし、自信も生まれない。メンタル面を奮い立たせる意味でも、週頭のミーティングでは前の試合からポジティブな要素を抜き出して伝えることに注力しつつ、試合に勝てず落ち込んでいる気持ちをもう一度前向きなものにして、チームの士気を少しでも高められるように、一生懸命努力しました」
地道な努力に加え、夏の岩上祐三や瀬沼優司といったベテラン選手の補強もプラスに働いた。後半戦の相模原は8月の3連勝、9~10月にかけての5戦無敗など確実にチーム状態が上向き、シーズン終了時には勝点41の16位まで順位を上げることができた。
勝利数も前半戦の2勝に対し、後半戦は7勝と目覚ましい進化が見られ、安藤翼(現松本山雅FC)のように年間二桁ゴールに乗せる選手も出現。個人個人の成長を促すという戸田監督のアプローチは、一応の成果を収めたと言っていい。
「(安藤)翼はキャリアハイの数字を残してくれましたし、ポジショニングやアクションの質の部分で大きな成長が見られました。同じ松本山雅に引き抜かれた佐相(壱明)も、もともと素晴らしいランナーでしたけど、常に全力投球な選手だったので、7割でのアクションを心掛けてもらったり、立ち方・走り方や止める・蹴るといったところから一緒に取り組み、本人の素晴らしい取り組み・努力もあって大きく成長してくれた。伸びた選手の1人だったと思います。
2人とも同じカテゴリーのライバルチームに行ってしまったのは残念ですが、パフォーマンスとポテンシャルを評価されたからこそのステップアップだと思うので、選手自身のキャリアを考えても嬉しく感じています。安藤・佐相・増田といった他クラブに評価されて巣立っていった選手たちを筆頭に、選手1人1人の成長に手応えを感じることができた。そんなJリーグ監督1年目でしたね」
戸田監督は改めて新人指揮官としての1年間を客観的に振り返った。ギリギリまで追い込まれた2023年の経験を糧に、彼は勝負の2024年に挑んでいったのである。
※第1回終了(全3回)
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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「(安藤)翼はキャリアハイの数字を残してくれましたし、ポジショニングやアクションの質の部分で大きな成長が見られました。同じ松本山雅に引き抜かれた佐相(壱明)も、もともと素晴らしいランナーでしたけど、常に全力投球な選手だったので、7割でのアクションを心掛けてもらったり、立ち方・走り方や止める・蹴るといったところから一緒に取り組み、本人の素晴らしい取り組み・努力もあって大きく成長してくれた。伸びた選手の1人だったと思います。
2人とも同じカテゴリーのライバルチームに行ってしまったのは残念ですが、パフォーマンスとポテンシャルを評価されたからこそのステップアップだと思うので、選手自身のキャリアを考えても嬉しく感じています。安藤・佐相・増田といった他クラブに評価されて巣立っていった選手たちを筆頭に、選手1人1人の成長に手応えを感じることができた。そんなJリーグ監督1年目でしたね」
戸田監督は改めて新人指揮官としての1年間を客観的に振り返った。ギリギリまで追い込まれた2023年の経験を糧に、彼は勝負の2024年に挑んでいったのである。
※第1回終了(全3回)
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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