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「守備が好きじゃなかった」サンチョがパリSG戦で見せた“成熟した姿”。マンUでは鳴かず飛ばずもドルトムントで躍動【現地発コラム】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2024年05月05日

12回のドリブル突破を記録

パリSG戦で奮闘したサンチョ(左)。(C)Getty Images

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 どの選手がどのクラブに合うかはそれぞれだろう。クラブにはクラブのDNAがあり、アイデンティティがある。環境も求められるものも全く違う中で、自分らしさを見失わずに順応するのは簡単なことではない。

 例えばイングランド代表歴のあるFWジェイドン・サンチョはその才能を高く評価されながらも、イメージ通りにブレイクスルーをすることができないでいる。

 2017-18シーズン、マンチェスター・シティからドルトムントへ移籍してきたサンチョは4シーズンで137試合に出場し、50得点をマーク。その軽やかなドリブルと豪快にゴールネットを揺らす得点力、そして物おじしない少しやんちゃな性格をファンは愛した。20-21シーズンにはDFBカップ優勝にも貢献している。

 だが、プレミアリーグの強豪マンチェスター・ユナイテッドへの移籍で、世界的なスター選手になるというプランが現実のものとなることはなかった。まるでハマらず、苦しい時間を過ごす日々。そんなサンチョに救いの手を差し伸べたのがドルトムントだ。
 
 レンタル移籍で戻った古巣でまたかつての輝きを取り戻しつつある。ドルトムントのホームで行われたパリ・サンジェルマンとのチャンピオンズリーグ準決勝・第1レグ(1-0)でも、何度も果敢な仕掛けを披露した。
【動画】パリSGを沈める! ドルトムントFWの鮮烈弾
『opta』の統計によると、この試合でサンチョは12回のドリブル突破を記録。CL準決勝でのデータとしては、2008年4月のマンチェスター・ユナイテッド戦で当時バルセロナでプレーしていたリオネル・メッシが記録した16回に次ぐものだという。

 躍動感あるサンチョのプレーを見ながら思い出した話がある。元マインツ監督でドルトムントU-23監督時代にサンチョを指導していたヤン・ジーベルトの言葉だ。

「サンチョは17歳でまず育成選手として獲得されたが、当時すでに“ワンダーボーイ”みたいな感じで取り上げられていたんだ。若手選手にとっては簡単な環境じゃない。そうした選手にはこちらの想像以上の重荷が両肩にのしかかっているという事実を知ることが大切だし、そうした負担をとりのぞくのが必要になる」
 
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