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【三浦泰年の情熱地泰】ブーイングは結果論。恐れることなくチームのため、仲間のため、自分のために走れ!

カテゴリ:連載・コラム

三浦泰年

2024年04月01日

僕はJリーグの選手として、いち早くサポーターからブーイングを受けた選手かもしれない

Jリーグでは清水の初代キャプテンに就任。ブーイングも数多く浴びた。(C) Getty Images

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「ブーイング」とは何物なのであろう?

 格好良いとか格好悪い、という問題なのか? 例えば、プロサッカーの世界におけるブーイングとは何であるかを考えてみた。

 サッカーで起こるブーイングを分けてみた。

 まずはチームに対してのブーイングがある。それはチームの不甲斐ない結果、内容に対して試合後に起こるブーイング。または相手チームに対して起こるブーイング。
 
 そして個人(選手)に対してのブーイング。これも自分たちのチーム、相手チームの選手の場合がある。

 ブーイングが起こるタイミングは、といえば、試合前、試合中、試合後のどんな時間帯にでも起こり得る。

 昔は、日本のサッカーではそれほどブーイングは起きなかったと記憶している。

 僕はJリーグ発足前のJSLという日本リーグでプレーした経験があるが、勝っても負けてもブーイングが起きることはほとんどなかった。そして流石に個人に対してブーイングは起きなかったと思う。

 それはきっと、日本のサッカーが当時、アマチュアリーグでもあり、世界ではメジャースポーツだったが日本ではまだまだマイナースポーツだったのだから、今のような厳しい目ではなかったのだろう。

 記憶としてあったとしても覚えていない(笑)程度だった。

 やはり日本では、プロリーグであるJリーグが発足してから大きなブーイングが起こったのであろう。

 そして僕はJリーグの選手として、いち早くサポーターからブーイングを受けた選手かもしれない。

 ブーイングのエピソードはいくつかある。

 Jリーグが発足して間もなく、清水エスパルスの敗戦にサポーターが、挨拶に並ぶ選手に向かってブーイング。当時、初代キャプテンを務めていた僕は「あとで会社の前で話そう!」と言い払った。

 彼らはクラブ(会社)の前で泣きながら「申し訳ありませんでした」と謝罪した。Jリーグ元年前の話だ。

 サポーターも不甲斐ない試合に負けたのだからブーイングするのは当たり前。

 しかしサポーターよりもっと悔しいのは僕らだ。選手たちは観ている人以上に悔しく、自分自身を責めているのである。

 ただ、不甲斐ない試合、だらしない負け試合にブーイングがないのもおかしい話だ…。エスパルス愛の強いサポーターの我々への想い、愛がブーイングという形になったとも言える。

 個人的には僕は清水からヴェルディ川崎へ移籍した。読売クラブから清水エスパルスへ移籍して4年後、またヴェルディへ戻ったという背景が生まれたわけだ。

 V川崎のホーム等々力(当時)での試合前、移籍した僕の名前がV川崎でコールされた瞬間。清水サポーターから大きなブーイングが起こった。

 これがプロだよな…と少し嬉しくも、少し悔しくも、これがプロの世界で生きると言うことだ。そのブーイングを大きなモチベーションに変え、ピッチに向かったのを覚えている。

 そして、これは何年か経つと元在籍していた選手の名前が呼ばれると拍手で暖かく迎えるように変わっていった。

 アビスパ福岡では残留争いをする選手にブーイングは頻繁に起こった。

 何度も何度も起こった。

 試合に負けたのだから当たり前だと選手として受け止めていた。福岡では余りにも多くのブーイングをもらい、エピソードは多過ぎた…笑。

 ペットボトルを投げ付けられ、罵声を浴び、ブーイングは当たり前。福岡での選手時代、僕は負けじと頑張った。

 一方で感動したブーイングもある。浦和が埼玉スタジアムでACLで優勝した試合だ。

 2007年11月、相手はセパハンだった。試合前から試合中、相手チームにボールが渡る度、浦和サポーターはブーイング。

 そのせいか、相手選手は90分間、何も起こせなかった。見事、選手とチームをアシストするブーイングが勝利に繋がり、ACL初王者の座を掴んだ。もちろんブーイングだけで勝った訳ではない。しかし、ホームの利を作り上げたのは間違いなかった。

 そうでありながら、浦和サポーターの敗戦後のブーイングも半端ではない。引き分けでも納得がいかず、バスを囲むこともあったという。

 サポーターがクラブやチームに、説明を求めるブーイングもある。それに対し、社長や選手がサポーターが陣取るゴール裏スタンドに向けて説明をするシーンもある。

 そんなシーンを見れば、サッカーのブーイング=(イコール)悪。醜い、格好悪い、非紳士的に見える、となるのかもしれない。

 しかし、それがサッカーの魅力でもあり、ある意味サッカーの歴史、文化のようなものだと思う。
 
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