• トップ
  • ニュース一覧
  • 【川崎】想いを知っていたからこそグッときたシーン。PKキッカーへ誰にもボールを渡さなかったFW山田新に小林悠、脇坂泰斗は温かい言葉

【川崎】想いを知っていたからこそグッときたシーン。PKキッカーへ誰にもボールを渡さなかったFW山田新に小林悠、脇坂泰斗は温かい言葉

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年03月02日

自ら奪ったPKだったからこそ

決してボールを離さなかった山田。見事にPKを決めた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

[J1第2節]川崎 4-5 磐田/3月1日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 得意なはずの打ち合いで敗戦。

 リーグ戦でのホーム開幕戦は、川崎にとっては苦いゲームとなった。

 それでもポジティブな点を見つけ出そうとすれば、4ゴールを奪えたことだろう。出場4試合で5ゴールと抜群の決定力を見せているエリソンを軸に攻撃の爆発力は光る。

 試合の入り方や守備面のバランスなどまだまだ改善しなくてはいけない面は非常に多いが、数年前の川崎を見ているような印象でもあった。
 
 そのなかで心に残るシーンがあった。

 85分、3-4で1点をリードされていた場面で、3分前に投入されたばかりのFW山田新が右サイドで上手くパス引き出し、ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。

 ベンチからはチームとして決めていたのだろう、キッカーはエリソンという指示が送られた。しかし、PKを奪取した後から山田が決して誰にもボールを渡そうとしない。先輩の小林悠や脇坂泰斗、遠野大弥らが声をかけてもボールを抱きかかえて“俺が蹴るんだ”という意志を示し続ける。

 ベンチに再度、遠野が確認しても「エリソン」との指示が飛ぶ。それでも山田がボールを離さずにいると、最後はハットトリックがかかっていたエリソンがその熱量を汲み譲る形で、山田がキッカーとなった。

 これだけ我を通したのである。いつも以上に緊張しそうなものだが、山田は見事に豪快にネットを揺らしてみせた。チームはその後、勝ち越しを許して試合には敗れたが、アカデミー出身の大卒2年目、23歳のストライカーの意地と覚悟を見た想いであった。
【動画】山田のPKシーン!
 

ゴール後に喜びを爆発させた山田。彼の想いが詰まっていた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 本来、チームの決め事でキッカーは定められていたはずで、山田の行動は賛否が分かれるのかもしれない。

 それでも今季の山田はキャンプから好調を維持し、それは鬼木達監督も認めるところであった。ムードメーカーであり、副キャプテンにも就任。盟友の宮代大聖がオフに神戸に移籍し、互いの活躍も誓い合っていた。

 様々な出来事が交錯し、山田の今季に懸ける想いは相当に強かったのを知っている。3トップの中央、CFはエリソン、バフェティンビ・ゴミスといった強力なライバルたちが顔を並べ、出場機会は限られていただけに、この試合でのゴールへの想いは人一倍だったはずである。

 何より、個人の意見としては「俺が取ったPKだ。俺に蹴らせてほしい!!」という自己主張するくらいが、ストライカーとして頼もしい。ひとつのゴールに貪欲になれてこその点取り屋である。それが彼らの生き残る術なのだから。

 そんな山田の姿に先輩FWの小林はこう想いを寄せてくれた。

「あのPKはあいつが勝ち取ったもの。あそこでもし決められなくても、あいつの力に変わっていくと思うし、今日はしっかり決めてくれた。普段から真面目にやっている選手なので、期待できる若いやつが出てきたなと、僕は嬉しいですね。

 まさにギラギラ感。自分が試合を変えてやるんだぞという想いが前面に出ている選手なので期待できます。能力は凄いものがあるので、点を決めていければ、より成長していけると信じています」

 また今季からキャプテンに就任した脇坂の山田への言葉はこうだ。

「彼はずっとやるべきことをやり続けているからこそ、短い時間でも結果にこだわって、結果を残しますし、頼もしいです。ただ僕らはああいうパワーがある選手、後輩を、もっと生かす展開にしないと。最初から出ている身として責任感があります」

 試合後に山田は、エリソンへの感謝と、キャンプで今季最も意識していると口にしていたファーストタッチの感覚が良いことを話してくれた。川崎を代表するFWへ、山田の進化には注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【記事】「メンタルがおかしい」内田篤人が驚嘆したJリーガーは?「いると安心する。貴重な存在」
 
【関連記事】
「正直、人間的に問題が多くて、感情をコントロールできない」「僕を使わない監督とはいつも喧嘩していた」鄭大世がそれでもプロで長生きできた理由は?
「メンタルがおかしい」内田篤人が驚嘆したJリーガーは?「いると安心する。貴重な存在」
「2人の目線が恐かった」松井大輔、若き日の日本代表で“パスをくれなかった”2選手を告白「おまえ外すからやらないって...」
ジュビロ川島永嗣が示す真のプロフェッショナリズム。こだわり抜いた“基準”でチームをさらなる高みに
金メダル宣言の根拠はどこに? 左のシャドー、左のウイングバック…北朝鮮戦では看過できない問題が複数あった【なでしこジャパン/コラム】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ