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左SB“豊作の年”で大注目の逸材。水戸内定の尾野優日が神奈川決勝で披露したスペシャルなプレー

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2023年11月16日

謙虚かつ野心はメラメラ

全国的には無名? 実力は申し分ない尾野が選手権でどんな活躍を見せるか楽しみだ。写真:安藤隆人

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「正直、僕の名前は知られていないと思うので、全国では『こんなサイドバックが日大藤沢にいたんだ』と見ている人が驚くようなプレーをしたいと思います」

 選手権の神奈川県決勝で桐蔭学園を1-0で下し、2年連続7度目の選手権出場を果たした日大藤沢において、唯一の高卒プロ内定者であるDF尾野優日は試合後にこう口にした。

 尾野は昨年から不動のレギュラーで全国大会も経験済み。今年のインターハイではベスト4進出の原動力となり、前述した通り来季から水戸ホーリーホック入りが内定している。

 それだけでも十分に名前は知られているとは思うが、なぜ尾野はそう言ったのか。それは同年代のライバルたちの存在が理由だった。

 今年の左サイドバックは『豊作の年』と言われている。現在、U-17ワールドカップに出場をしている高校№1サイドバックと言われる吉永夢希(神村学園)を筆頭に、ファジアーノ岡山入りが内定している飯塚の藤井葉大、180センチのサイズを誇る大津のレフティ田辺幸久が揃う。

 この3人にあって、尾野にはないもの。それは代表・選抜歴だ。吉永はもちろん、藤井は昨年にU-16日本代表に選出され、田辺はU-17日本高校選抜、日本高校選抜候補に選ばれている。
 
「代表などに入っていないということは、まだそれだけ評価されていない証拠。3人ともかなりハイレベルな実力者ですが、ずっとそこに割って入りたいと思っています」

 謙虚である一方で、その表情は野心に満ち溢れていた。4人の中で自分は一番下だからこそ、ここから這い上がっていくしかない。そこには燃え上がる向上心と反骨心があった。

 ただ、尾野が一番下とは思わない。なぜかというと、彼にはキックの質と守備力という大きな武器がある。

 なかでもキックの能力はずば抜けていて、持ち味であるスピードを活かした縦突破から繰り出されるクロスの質は凄まじい。トップスピードのまま身体を広げたり、少し中に持ち出したりしてからクロスを上げるのではなく、そのまま縦に身体が向いている状態で足を鞭のようにしならせて、強烈かつ正確なクロスを供給する。

 さらに相手が寄せてきたら、中ではなく外側に持ち出してからも矢のようなクロスを送り込む。これは並の選手ではなかなか持てない能力だ。

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