U-17ワールドカップが開幕し、早５日。森山佳郎監督が率いる日本代表は、グループステージ（GS）初戦でポーランドに１－０、第２戦でアルゼンチンに１－３。１勝１敗のグループ３位、得失点差-１でセネガルとのGS最終戦を迎える。

　ノックアウトステージに進めるのは、各組の上位２位までと３位の上位４か国。日本は仮に最終戦で敗れたとしても３位抜けの可能性を残すが、得失点差を考えれば現実的ではない。セネガル戦は最低でも引き分け以上の結果が求められる。

　２連勝中で今大会屈指の攻撃力を誇るセネガルに対し、日本はどのように戦うのか。アルゼンチン戦の後半のように勇気を持って仕掛けられれば、勝機は見えてくる。

　アルゼンチン戦から一夜明けた11月15日、チームはインドネシアのバンドン市内でトレーニングを行なった。前日のゲームで先発出場していないGK上林大誠（山形ユース）、GKピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾（名古屋U-18）、右SB松本遥翔（鹿島ユース）、CB永野修都（FC東京U-18）、DF布施克真（日大藤沢）、MF矢田龍之介（清水ユース）、MF川村楽人（東京Vユース）、FW徳田誉（鹿島ユース）、FW名和田我空（神村学園）に加え、スタメン組のFW道脇豊（熊本）が自ら志願して練習に参加した。

　ミニゲームを中心に汗を流したなかで、虎視眈々と活躍の機会をうかがっている選手がいる。それが神村学園の名和田だ。

　チーム発足当初からコアメンバーとしてほとんどの遠征に参加し、今年６月に行なわれたU-17アジアカップでは得点王と大会MVPの個人２冠を達成。チームに欠かせない１人として存在感を高めていた。

　もちろん、今回のワールドカップでも主力として活躍が期待されているのは、言うまでもない。しかし、ここまでまだ輝きを放てずにいる。
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　ポーランドとの初戦は右サイドハーフで先発出場を果たしたが、守備に追われて70分に途中交代。続くアルゼンチン戦はベンチスタートとなり、最後まで出番は巡ってこなかった。

「（アルゼンチン戦では）大事な場面で出してもらえない自分の力を痛感した」

　複雑な心境を明かした名和田だが、決して下を向いているわけではない。「今の状況をポジティブに捉えている」と話し、少しでも成長するために外からゲームを見ていた。

「アルゼンチン戦を外から見て、個人の部分で奪われないところや個のクオリティはやっぱり高いと感じた。そういうところが日本には足りていなかった。決め切る力も凄かったし、この大事な局面でしっかり決めてくる選手はさすがだった」

　もちろん、このままでは終われない。「自分が結果を残すイメージを持ってインドネシアに来た」と言い切ったように、結果を誰よりも求めている。２試合連続ゴールを決めた同郷のFW高岡伶颯（日章学園）が活躍する姿も、発奮材料の１つになっており、「めちゃくちゃ悔しい」という言葉からも想いがヒシヒシと伝わってくる。

“今度は自分だ”と言わんばかりに、意気込んでいる男は日本を勝利に導けるか。

「まだ大会は終わっていない。これからが自分の力が試されるところ。悔いが残らないようにプレーしたい。今は本当に悔しい想いをしているので、次のセネガル戦やその先の戦いで、この気持ちをぶつけたい」

　気合は十分。チームに貢献するべく、セネガルとの大一番に臨む。

取材・文●松尾祐希（フリーライター）

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