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「世界のトップ5に入るCB」「ピケの後継者に相応しい」分析のエキスパートがバルサのDFアラウホを徹底解剖!あえて粗を探すとすれば…

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2023年11月17日

ローブロックとハイラインのいずれの状況においても傑出

バルサDF陣のキーマンと評せるアラウホ。遠からずCBとし世界のトップを争う存在になるだろう。(C)Getty Images

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 現役イタリア人監督のロベルト・ロッシ氏が、トッププレーヤーを徹底解剖する当企画。今回の分析対象者は、バルセロナのDFラインを支えるロナルド・アラウホだ。すでにワールドクラスと評せるこのウルグアイ代表の24歳は、ジェラール・ピケの正統後継者に相応しいとロッシ氏は太鼓判を押す。
 
―――――――――――――◇―――――――――――――◇――――――――――――
 
●分析対象者●
Ronald ARAUJO
ロナルド・アラウホ(バルセロナ/DF /ウルグアイ代表)
◇生年月日/1999年3月7日(24歳)
◇身長・体重/188cm・79㎏
 
 190センチに迫る大柄な体格(188cm・79㎏)にもかかわらず、スピード、アジリティー、コーディネーション、持久力といったアスリートとしてのクオリティーを高いレベルで備え、さらにボールスキルもDFとしては申し分なし。バルセロナでレギュラーの座を掴んで4シーズン目、ロナルド・アラウホは24歳にして世界のトップ5に入るDFへと飛躍を遂げた。
 
 CBとしての総合的なパフォーマンスは、現時点におけるナンバー1と言うべき26歳のルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)にこそ安定感や経験値という点で及ばないにしても、マタイス・デ・リフト、ダヨ・ウパメカノ(ともにバイエルン・ミュンヘン)、ウィリアム・サリバ(アーセナル)、エデル・ミリトン(レアル・マドリー)、アレッサンドロ・バストーニ(インテル・ミラノ)といった同年代のライバルの誰と比べても勝るとも劣らない。
 
今後、唯一の「弱点」とも言える筋肉系の故障の多さに妨げられることなく、さらなる「伸びしろ」として残されている守備の個人戦術、組織戦術面で向上を果たせば、遠からずCBとして世界のトップを争う存在になるだろう。
 
 アラウホの大きな強みは、攻守両局面のいずれにおいても欠点らしい欠点がなく、あらゆる状況に対応できる万能性であり、ワールドクラスのCBであるのはもちろん、右SBとしてのパフォーマンスもきわめてハイレベルだという点。それゆえ皮肉な話ではあるが、シャビ監督は右SBで起用することが少なくない。今シーズンも、8月17日の練習中にハムストリングを痛めて離脱(すでに復帰)するまでは、プレシーズンマッチの段階からほぼ一貫して右SB起用だった。
 
 体格的に明らかに劣るジュル・クンデをCBに配してアラウホを右SBに回す選択は、一見すると不可解な用兵にも思われる。これは私の個人的な推測だが、主な理由はクンデと比べてSBとしての攻撃性能が高いからではないだろうか。
 
 バルセロナは基本的にボールを支配して敵陣で戦うチームであり、昨シーズンのラ・リーガにおける平均ボール支配率は64・8%(今シーズン開幕11試合は同67・6%)。この数字が示す通り、自陣で守備ブロックを構築して敵の攻撃を受け止める時間(と頻度)はごく限られている。さらに、攻撃時には左右のSBが同時に敵陣の高い位置まで進出し、サイドでボールに絡んで数的優位を作り出すタスクを担っている。それを前提とすれば、ブロック守備におけるCBペアの高さや強さよりも、攻撃時におけるSBの攻撃性能に優先順位を置く選択は、それなりに理に適った起用法だ。
 
 ただし今シーズンのバルセロナには、攻撃的な右SBを「本職」とするジョアン・カンセロが加わった。そのカンセロを今後、右SBのレギュラーに据えるのであれば、右CBはクンデではなくアラウホを配置するのが自然な選択だろう。
 
 いずれにしても、アラウホが自らの持ち味を最大限に発揮できるポジションが、右SBよりCBであるのは確かだ。自陣でのブロック守備やセットプレーの守備というCBとして最もベーシックな状況においては、高さと強さを兼備した強靭な体格、そしてウルグアイ人らしいアグレッシブな闘争心を前面に打ち出したハードマークを武器に、空中戦、地上戦のいずれにおいても敵FWに自由を与えない。バルセロナではそれほど多くないがウルグアイ代表では頻出する、相手にボールを持たせてローブロックで守る状況における信頼度の高さは申し分ない。
 
 そしてなにより傑出しているのが、バルセロナのようなチームがしばしば直面する、最終ラインを高く押し上げている状況における守備対応だ。背後のオープンスペースへの放り込みやスルーパスで敵FWに裏抜けを許しても、1対1で走り負けるケースはごく稀であり、多くの場合はそのスピードと当たりの強さで相手に独走を許さず、危険な状況からチームを救い出す。
 
 ボール保持によるゲーム支配を基本に据え、敵陣で長い時間を過ごすチームにとって、ハイライン背後の危機管理は死活問題である。かといって、例えばクンデのようにスピードがあっても体格的に高さが足りないCBだけでは、とりわけセットプレーの守備に大きな弱点を抱えることになりかねない。バルセロナの最終ラインにとって長年、ジェラール・ピケが絶対不可欠の存在だった理由もまさにそこにあった。アラウホはローブロックとハイラインという相反する状況のいずれにおいても傑出したパフォーマンスを発揮する点で、そのピケの後釜に相応しいCBであると言えるだろう。
 
 あえて粗を探すとすればだが、同じオープンスペースでの守備対応でも、2対3、3対4など数的不利でカウンターを喫する極限的な状況での振る舞い(個人戦術)には、改善の余地が残されている。数的有利や同数の場合には直接の敵をマークすれば事足りるが、数的不利の場合にはボールや人に引っ張られず、味方との距離感を保ちながら複数の敵に目を配り、最悪の事態に対応できる身体の向きを保ちながらトップスピードで背走するという、ゾーンディフェンスの原則に則った高度な戦術的対応が求められる。そうした状況に置かれた時のアラウホには、ボールホルダーに食いつき過ぎたり、身体の向きが逆だったりと、個人戦術の面でベストとは言えない選択をするケースが見られるのだ。
 
 アラウホが育ったウルグアイも含め、南米では人に基準を置いた守り方が主流で、CBには味方との連携に頼らず1対1のデュエルに勝つことを求める傾向が強い。またバルセロナのようなチームは、トレーニングの大部分をボール保持に割いていて、数的不利での被カウンター対応などは、個のクオリティーに依存すると割り切っているようにも見受けられる。こうした高度な個人戦術をほぼ完璧にこなせるCBは世界を見回してもディアス、チアゴ・シウバ(チェルシー)など数えるほどしかいないのも事実だが、同世代ではサリバやデ・リフトはアラウホよりもミスが少なく、その点で彼には向上の余地が残されていると言える。
 
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