「守り切れ!」「耐えろ!」菅原由勢、AZのアヤックス戦快勝劇で目の当たりにした“リーダーとしての凄み”。「僕はオランダ人じゃないけど…」【現地発】
カテゴリ:海外日本人
2023年10月09日
凄みのせいで、彼がヒゲを剃ったことに気づかなかった
AZは10月8日、敵地ヨハン・クライフアレーナで“アヤックスキラー”ぶりを発揮して2-1の勝利を収めた。これでAZは首位PSVと勝点2差の2位に浮上。一方、未曾有の不振にあえぐアヤックスは16位と低迷している。
立ち上がりから押し気味に試合を進めていたAZは前半アディショナルタイムにようやく先制点を奪った。殊勲のCFパブリディスがコーナーフラッグまで疾走すると、チームメイトが集まって喜びの輪ができた。しかし右SB菅原由勢はハーフウェイライン辺りから遠く仲間たちの姿を見守っていた。
「あのとき、僕はみんなが喜んでいるのを見て、相手のリアクションも見ていました。そして相手があの1点でガックリ来ているのも確認できた。そのなかで『後半の立ち上がりが重要だなぁ』というのを同時に考えていましたし、ハーフタイムでもそういう話をした。その後、後半の立ち上がりに2点目を取れました」
73分に1点を返したアヤックスは終盤、なりふり構わずパワープレーに出てAZ陣内にロングボールを放り込む。後半アディショナルタイム6分に得たCKではGKホルターも攻撃に上がってきた。このとき菅原は大声で何かを吼えていた。
「相手のキーパーが上がってきたから、守備の枚数がどうしても足りませんでした。僕はCKの守備では普段だとゾーンに立っていますが、そうではなくマークにつこうと見た。それと同時に、どこの枚数が足りていないかを聞いていました。そして『守り切れ! しっかり相手の選手を見つけてブロックしろ!』『ここは耐えるところだぞ!』ということをみんなに言っていました」
このピンチを凌いでからしばらくして、AZの勝利を告げるタイムアップの笛が鳴り、菅原は満面の笑みでGKライアンと抱き合った。
「勝たないといけない試合でした。そして勝てた。連戦でキツかったですけれどね。勝つためにやっていたので、勝てたことがすべてです。良かったです」
ドイツ、トルコを撃破した国際マッチウイークが明けてから、AZは22日間で7試合もこなした。カンファレンスリーグ(UECL)ではボスニア・ヘルツェゴヴィナに遠征し、本来ならセーフティーリードのはずの3点差を逆転されて3-4で負けた。その精神的ダメージは中2日のズウォーレ戦を3-0で勝つことで払拭し、この7連戦を5勝1分け1敗の好成績で駆け抜けた。
立ち上がりから押し気味に試合を進めていたAZは前半アディショナルタイムにようやく先制点を奪った。殊勲のCFパブリディスがコーナーフラッグまで疾走すると、チームメイトが集まって喜びの輪ができた。しかし右SB菅原由勢はハーフウェイライン辺りから遠く仲間たちの姿を見守っていた。
「あのとき、僕はみんなが喜んでいるのを見て、相手のリアクションも見ていました。そして相手があの1点でガックリ来ているのも確認できた。そのなかで『後半の立ち上がりが重要だなぁ』というのを同時に考えていましたし、ハーフタイムでもそういう話をした。その後、後半の立ち上がりに2点目を取れました」
73分に1点を返したアヤックスは終盤、なりふり構わずパワープレーに出てAZ陣内にロングボールを放り込む。後半アディショナルタイム6分に得たCKではGKホルターも攻撃に上がってきた。このとき菅原は大声で何かを吼えていた。
「相手のキーパーが上がってきたから、守備の枚数がどうしても足りませんでした。僕はCKの守備では普段だとゾーンに立っていますが、そうではなくマークにつこうと見た。それと同時に、どこの枚数が足りていないかを聞いていました。そして『守り切れ! しっかり相手の選手を見つけてブロックしろ!』『ここは耐えるところだぞ!』ということをみんなに言っていました」
このピンチを凌いでからしばらくして、AZの勝利を告げるタイムアップの笛が鳴り、菅原は満面の笑みでGKライアンと抱き合った。
「勝たないといけない試合でした。そして勝てた。連戦でキツかったですけれどね。勝つためにやっていたので、勝てたことがすべてです。良かったです」
ドイツ、トルコを撃破した国際マッチウイークが明けてから、AZは22日間で7試合もこなした。カンファレンスリーグ(UECL)ではボスニア・ヘルツェゴヴィナに遠征し、本来ならセーフティーリードのはずの3点差を逆転されて3-4で負けた。その精神的ダメージは中2日のズウォーレ戦を3-0で勝つことで払拭し、この7連戦を5勝1分け1敗の好成績で駆け抜けた。
最近3週間で感じたのが、菅原のリーダーシップ。そして逞しさ、頼りがいだ。疲労は間違いなく蓄積されている。3日前、まるで熊のようだったヒゲはキレイに剃られており、本来ならスッキリした表情のはず。しかし疲労の色と、責任を背負って戦う男の凄みのせいで、しばらく私は彼がヒゲを剃ったことに気づかなかった。
「本当に頼もしくなった」と私は告げた。「もう5年も(AZに)いたらね」と言ってから菅原は続けた。
「パスカル・ヤンセン監督から『一番AZで試合出場数がある。そういう経験をチームに還元してほしい』と言われました。僕はオランダ人じゃない。他の国から来た選手ですが、これだけ信頼してくれている。だからやっぱり責任を持ってやらないといけません。ピッチ上だけでなく、言葉も使ってチームを盛り上げていかないといけません。監督の期待に応えられるようにやっていきたいです」
10月27日のアストン・ビラ戦(UECL)に出場すると菅原の欧州カップ戦出場試合数は47となり、AZクラブ歴代記録の単独トップに立つ。現役選手の公式戦出場数ではベテランCBマルティンス・インディやMFヨルディ・クラシ―が上回るが、“AZでの公式戦出場数”では菅原の170試合がナンバーワンだ。アシスタントコーチ時代から5年間の長きに渡り、ヤンセン監督は菅原のプレーと人間面での成長を見守ってきたからこそ、チームリーダーとしての信頼を寄せるのだろう。
「本当に頼もしくなった」と私は告げた。「もう5年も(AZに)いたらね」と言ってから菅原は続けた。
「パスカル・ヤンセン監督から『一番AZで試合出場数がある。そういう経験をチームに還元してほしい』と言われました。僕はオランダ人じゃない。他の国から来た選手ですが、これだけ信頼してくれている。だからやっぱり責任を持ってやらないといけません。ピッチ上だけでなく、言葉も使ってチームを盛り上げていかないといけません。監督の期待に応えられるようにやっていきたいです」
10月27日のアストン・ビラ戦(UECL)に出場すると菅原の欧州カップ戦出場試合数は47となり、AZクラブ歴代記録の単独トップに立つ。現役選手の公式戦出場数ではベテランCBマルティンス・インディやMFヨルディ・クラシ―が上回るが、“AZでの公式戦出場数”では菅原の170試合がナンバーワンだ。アシスタントコーチ時代から5年間の長きに渡り、ヤンセン監督は菅原のプレーと人間面での成長を見守ってきたからこそ、チームリーダーとしての信頼を寄せるのだろう。