［天皇杯・準決勝］川崎４－２福岡／10月８日／等々力陸上競技場

　自慢のターンで相手をかわし、絶妙なスルーパスで守備陣を切り裂く。

「チームを勝たせられる存在に」

　常にそう語っていた脇坂泰斗のパフォーマンスが日に日に注目度を増しているが、福岡との天皇杯・準決勝では、プレースキックで２アシストもマークしてみせた。

　まず開始５分。左CKを得ると、ニアに走り込んだ山村和也の頭にピタリと合わせてみせて先制点を導く。

　そして81分には左CKを今度はファーサイドに送り、レアンドロ・ダミアンの強烈なヘッドでチーム４点目を演出してみせたのだ。

　今季はセットプレーがなかなか得点につながらない時期もあった。それでもコツコツと練習を重ねてきた成果が、無冠で終わるわけにはいかないシーズンのラストチャンス、天皇杯での重要な一戦で表れたのも、感慨深いものがあった。

「今日は（フィーリングが）良かったです。良くても合わない日もあるし、悪くても合う日がある。ずっと蹴り続けている分、常に良いボールを蹴れるように準備をしていますが、結果につながる日もありますし、つながらない日もある。

　それでも引き続きやれた結果、今日は２ゴールにつながったので、やっぱり日頃の練習の成果だと思います」

【厳選ショット】山村、橘田、マルシーニョ、L・ダミアン！怒涛のゴールラッシュで決勝進出を決める｜天皇杯準決勝 川崎４－２福岡

 

　セットプレー以外にも福岡戦では前半にマルシーニョへ絶妙なスルーパスを通してPKへつなげてもみせた。これはL・ダミアンのシュートがGKに防がれたが、随所に存在感を放ったのだ。

　クラブ伝統の14番を引き継いで２年目。この日の試合後にはその背番号を長く背負っていたレジェンドの中村憲剛氏と会話をかわすシーンもあったが、徐々に自身の14番像を作っているとも言えるのだろう。

　持ち前の技術力とともに、“怖さ”も放つようになったプレーメーカー。川崎の戴冠にはこの男がやはり必要だ。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）



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