SBSカップの２日目、U-18日本代表と対戦した静岡ユースは、トップ下の花城琳斗（JFAアカデミー）を中心にテンポの良いパス回しで攻撃を組み立て、チャンスを作り出したが、結果は０－２の敗戦となった。

　この試合、最前線で180センチのサイズを活かしたポストプレーとキープ力で、花城をはじめ、２列目以降の選手たちが繰り出す攻撃を引き出していたのが、FW遠野翔一（藤枝明誠）だ。

　ただ、試合後には「代表を相手に収めることはできていたけど、ファウルでイエローをもらったり、背負うプレーをしようとした時に当てられると体幹がすぐにブレて倒されたりしていたので、本当にまだまだだなと痛感しました」と反省の弁。U-18代表の激しい寄せに対してバランスを崩し、いつものターンをしながらすり抜けていくようなプレーが影を潜めていた。

「僕は自分にないものを持っている選手から、どんどん学んでいきたいと思っています。たとえば、同じ静岡ユースの（FW舩橋）京汰（ジュビロ磐田U-18）は、裏に飛び出すことが得意で、両利きで僕にはできないことができる選手。プレミアリーグでも得点ランキング４位に食い込むほどの選手だからこそ、これからも参考にしていきたい。

　相手のU-18日本代表のFWの神田奏真選手も、プレミアリーグで得点ランキング３位の選手で、かつ静岡学園の選手。静岡の高校サッカーでは静岡学園が一番強いと思うので、そこのエースストライカーのプレーもどんどん吸収しながらやっていきたいです」

　周りは自分より力が上の選手ばかりと認めているからこそ、自分もより成長して追いついて、追い越せるようになりたいと常日頃から思っている。
 

　遠野がそこまで謙虚に、向上心を燃え上がらせているようにしているのは、１人の親族の存在が大きかった。

「藤枝明誠」「遠野」という２つのキーワードでピンときている人もいるかもしれないが、現在、川崎フロンターレでプレーするFW遠野大弥は藤枝明誠出身。実は彼と翔一は従兄弟の関係にある。

　翔一の父親の妹の子どもである大弥とは家が近所だったこともあり、幼少の頃から一緒にサッカーをして遊んでいた。小学生の頃、大弥の応援にエコパスタジアムに行った時の光景は、今でも目に焼き付いているという。

「選手権静岡県予選決勝の浜松開誠館戦だったのですが、そこで大弥を始めとした藤枝明誠の選手たちが熱い試合をして優勝したんです。この時の大弥や他の藤枝明誠の選手たちがものすごく輝いて見えたので、僕も藤枝明誠に行って、エコパで決勝を戦って優勝して、選手権に出たいという気持ちが強くなったんです。そこから僕は藤枝明誠に進むことしか考えていませんでした」

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