大きな効果を生んだ猶本のアクション
[女子W杯・GS第3節]日本 4-0 スペイン/7月31日/ウェリントン・レジオナル・スタジアム
4-0という衝撃的な結果になったが、スペインのボール保持率が70パーセントを超えており、ファイナルサードへの侵入回数では、スペインが95回、一方の日本は19回という大きな差が出たことを見ても、決して日本が相手を圧倒した結果ではない。
しかしながら、スペインを分析して、戦い方をチームで共有し、戦い抜いた結果の大勝利だった。
スペインのホルへ・ビルダ監督は、今大会のファーストセットと見られるスタメンをそのまま出してきた。それは女子代表として初の世界一を見据えての決断だったことを会見で明かしているが、相手の対策をベースに準備してきた日本にとっては願ったり叶ったりの選択だったと言える。
4-3-3のスペインがどのようにボールを回して、どこを狙ってくるのか。そうしたことを共有しながら、これまでのザンビア戦、コスタリカ戦に増して5-4-1のブロックをタイトに固めて、相手のボールロストやパスカットから日本側のボールになれば、躊躇なく縦に攻撃を仕掛けた。
その最初の成果が、12分の宮澤ひなたによる先制ゴールとなったわけだが、そこにいたるシンプルな展開にも、共有されたエッセンスが詰まっていた。自陣中央の熊谷紗希から左ワイドにボールが出ると、遠藤純が受けて、そこから時間をかけずに左足で斜め前に蹴り出す。スペインの背後に走り込む植木理子のさらに外側から宮澤が飛び出して、左足で流し込むという形だった。
4-0という衝撃的な結果になったが、スペインのボール保持率が70パーセントを超えており、ファイナルサードへの侵入回数では、スペインが95回、一方の日本は19回という大きな差が出たことを見ても、決して日本が相手を圧倒した結果ではない。
しかしながら、スペインを分析して、戦い方をチームで共有し、戦い抜いた結果の大勝利だった。
スペインのホルへ・ビルダ監督は、今大会のファーストセットと見られるスタメンをそのまま出してきた。それは女子代表として初の世界一を見据えての決断だったことを会見で明かしているが、相手の対策をベースに準備してきた日本にとっては願ったり叶ったりの選択だったと言える。
4-3-3のスペインがどのようにボールを回して、どこを狙ってくるのか。そうしたことを共有しながら、これまでのザンビア戦、コスタリカ戦に増して5-4-1のブロックをタイトに固めて、相手のボールロストやパスカットから日本側のボールになれば、躊躇なく縦に攻撃を仕掛けた。
その最初の成果が、12分の宮澤ひなたによる先制ゴールとなったわけだが、そこにいたるシンプルな展開にも、共有されたエッセンスが詰まっていた。自陣中央の熊谷紗希から左ワイドにボールが出ると、遠藤純が受けて、そこから時間をかけずに左足で斜め前に蹴り出す。スペインの背後に走り込む植木理子のさらに外側から宮澤が飛び出して、左足で流し込むという形だった。
日本が深い位置でボールを持った時に、スペインが全体をハイラインにしながらサイドバックも中に絞ってくるという習性があり、しかも左右ウイングのポジションは高いので、左ウイングバックの遠藤や右の清水梨紗がシンプルにボールを受けやすいということがひとつある。
それに加えて、このシーンでは左シャドーの猶本光が一度引いて縦パスを引き出す動きをしたことが、大きな効果を生んだ。
「結構、相手は食いついてくるというので、タイミングよく下りたら(遠藤)純が抜けたりとか、ディフェンスラインにギャップができるというのは狙ってやってました」
そう振り返る猶本が手前に引くと、右センターバックのイレネ・パレデスが前に出てプレッシャーをかけに来たのだ。なぜこうしたことが起きるのかというと、4-3-3の右インサイドハーフであるアイタナ・ボンマティは、日本の左ボランチである長野風花をチェックに行っているので、アンカーのテレサ・アベレイラの脇が大きく空いてくる。猶本はここを狙って、後ろからの縦パスを引き出しに行った。
その際に、右サイドバックのオナ・バトルが後ろに残っていれば中に絞って、左センターバックとの距離を積めるのがセオリーだが、熊谷が左オープンの遠藤に展開したことで、オナは遠藤に行かないといけなくなる。
つまり右センターバックの前に出る動きと、右サイドバックの開いて対応する動きがほぼ同時に発生したことで、スペインの最終ラインに大きなギャップが生じたのだ。
それに加えて、このシーンでは左シャドーの猶本光が一度引いて縦パスを引き出す動きをしたことが、大きな効果を生んだ。
「結構、相手は食いついてくるというので、タイミングよく下りたら(遠藤)純が抜けたりとか、ディフェンスラインにギャップができるというのは狙ってやってました」
そう振り返る猶本が手前に引くと、右センターバックのイレネ・パレデスが前に出てプレッシャーをかけに来たのだ。なぜこうしたことが起きるのかというと、4-3-3の右インサイドハーフであるアイタナ・ボンマティは、日本の左ボランチである長野風花をチェックに行っているので、アンカーのテレサ・アベレイラの脇が大きく空いてくる。猶本はここを狙って、後ろからの縦パスを引き出しに行った。
その際に、右サイドバックのオナ・バトルが後ろに残っていれば中に絞って、左センターバックとの距離を積めるのがセオリーだが、熊谷が左オープンの遠藤に展開したことで、オナは遠藤に行かないといけなくなる。
つまり右センターバックの前に出る動きと、右サイドバックの開いて対応する動きがほぼ同時に発生したことで、スペインの最終ラインに大きなギャップが生じたのだ。