「僕は甘やかさない」(澤登監督)
残り10分を切った時点で0-2から追いつき、ラストプレーで逆転弾。劇的な勝利に清水の選手たちは感情を爆発させ、誰もが喜びに浸った。しかし――。
2年生ながらエスパルスの10番を背負い、U-17日本代表でも活躍するボランチだけは複雑な心境だった。
7月23日、第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会が開幕し、グループステージが群馬県内で行なわれた。グループGの清水エスパルスユースは北海道コンサドーレ札幌U-18と対戦。2点のビハインドをひっくり返し、3-2で競り勝った。
勝利を掴んだ瞬間、10番を背負うMF矢田龍之介の姿はピッチになかった。仲間たちの勇姿をベンチから見守っていたからだ。
4-4-2のボランチで先発出場した矢田は、序盤からアグレッシブなプレーで積極的に攻撃に関与。立ち上がりの10分間で2本のシュートを放つなど、試合の入りは決して悪くなかった。
だが、以降は沈黙。持ち前の強度の高いプレーは鳴りを潜め、球際の勝負で勝ち切れない。相手の3バックを崩すべく、チームはDFの背後や最終ラインの脇にボールを入れる戦術で流れを作りにいったものの、矢田がセカンドボールを回収できずに中盤を彷徨うシーンが多くなった。
攻撃面でも自慢の推進力を発揮できず、パスを受けるシーンもごくわずか。試合から“消える”時間帯が目立ち、後半になっても本来の良さを発揮できなかった。
すると、澤登正朗監督が動く。
「今日は出来が良くなかった。代表に選ばれている選手であっても、チームの基準に達していないのであればすぐに交代させる」(澤登監督)
後半20分の飲水タイムで矢田は交代を余儀なくされたのだ。
【PHOTO】堀北・ガッキー・広瀬姉妹! 初代から最新18代目の凛美まで「歴代応援マネージャー」を一挙公開!
2年生ながらエスパルスの10番を背負い、U-17日本代表でも活躍するボランチだけは複雑な心境だった。
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勝利を掴んだ瞬間、10番を背負うMF矢田龍之介の姿はピッチになかった。仲間たちの勇姿をベンチから見守っていたからだ。
4-4-2のボランチで先発出場した矢田は、序盤からアグレッシブなプレーで積極的に攻撃に関与。立ち上がりの10分間で2本のシュートを放つなど、試合の入りは決して悪くなかった。
だが、以降は沈黙。持ち前の強度の高いプレーは鳴りを潜め、球際の勝負で勝ち切れない。相手の3バックを崩すべく、チームはDFの背後や最終ラインの脇にボールを入れる戦術で流れを作りにいったものの、矢田がセカンドボールを回収できずに中盤を彷徨うシーンが多くなった。
攻撃面でも自慢の推進力を発揮できず、パスを受けるシーンもごくわずか。試合から“消える”時間帯が目立ち、後半になっても本来の良さを発揮できなかった。
すると、澤登正朗監督が動く。
「今日は出来が良くなかった。代表に選ばれている選手であっても、チームの基準に達していないのであればすぐに交代させる」(澤登監督)
後半20分の飲水タイムで矢田は交代を余儀なくされたのだ。
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0-2から反撃したチームは勝利を手にしたが、そこに貢献できなかった矢田の悔しさは想像に容易い。本人も反省の弁を口にする。
「セカンドボールの回収がまだまだだったし、収めて違いを見せることもできなかった。球際でぶつかれるけど、あふれたところに反応ができなかった」
「0-2の状態でピッチから去るのは悔しい。2年生になってから(不甲斐ない出来で)後半途中に交代することがなかった。もっとやらないといけない」
大逆転劇に貢献できなかった矢田だが、後半の途中交代は指揮官からの愛あるメッセージでもある。
「U-17代表に選ばれたとしても、僕は甘やかさない」という澤登監督の言葉も、期待されているからこそ。
トップチームに2種登録されている今季は、ルヴァンカップで2試合に出場。同年代の仲間たちより一足先にプロのピッチを経験した。そこで味わったものは貴重な財産。特に今季の清水ユースはU-18高円宮杯プレミアリーグではなく、プリンスリーグ東海を戦っており、上のレベルを味わえる場が限られている。トップで得た経験を基に、さらなるステップアップを目ざし、ユースでプレーを続けてきた。
「プロはプレースピードも強度も違う。そこに慣れたうえで技術を発揮しないといけない。守備もできるようにならないといけないので、早急に改善しないといけないです」
そうした状況下で少しずつ手応えを掴み、優勝した先のU-17アジアカップでも素晴らしいパフォーマンスを見せた。「もっとリラックスしてプレーすべきだった」と本人は反省を口にしたが、今秋にインドネシアで開催されるU-17ワールドカップの出場権獲得にも貢献したことは記憶に新しい。
ただ、今回の札幌戦は低調なプレーに終わった。こんなもんじゃない――。矢田も澤登監督も、もっとやれると信じている。この悔しさを糧に、さらなる奮起を期す。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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「U-17代表に選ばれたとしても、僕は甘やかさない」という澤登監督の言葉も、期待されているからこそ。
トップチームに2種登録されている今季は、ルヴァンカップで2試合に出場。同年代の仲間たちより一足先にプロのピッチを経験した。そこで味わったものは貴重な財産。特に今季の清水ユースはU-18高円宮杯プレミアリーグではなく、プリンスリーグ東海を戦っており、上のレベルを味わえる場が限られている。トップで得た経験を基に、さらなるステップアップを目ざし、ユースでプレーを続けてきた。
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そうした状況下で少しずつ手応えを掴み、優勝した先のU-17アジアカップでも素晴らしいパフォーマンスを見せた。「もっとリラックスしてプレーすべきだった」と本人は反省を口にしたが、今秋にインドネシアで開催されるU-17ワールドカップの出場権獲得にも貢献したことは記憶に新しい。
ただ、今回の札幌戦は低調なプレーに終わった。こんなもんじゃない――。矢田も澤登監督も、もっとやれると信じている。この悔しさを糧に、さらなる奮起を期す。
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