「自分が活躍することが、チームを勝たせることに直結する」

　ストライカーとしての矜持と、移籍の覚悟を感じさせる言葉だった。

　７月13日、清水エスパルスから湘南ベルマーレへの完全移籍が決まったディサロ燦シルヴァーノ。2019年に法政大からJ３のギラヴァンツ北九州に加わると、26試合・７得点と即戦力として躍動し、リーグ優勝とJ２昇格に貢献。翌シーズンは18ゴールを挙げ、21年に清水へ完全移籍した。

　期待を寄せられたJ１での１年目は、リーグ戦でわずか１得点。翌年も夏までで３試合の出場に留まるという苦しい時間を過ごし、22年７月に再起をかけてJ２のモンテディオ山形へのレンタル移籍を決断した。

　新天地ではJ１昇格プレーオフを含む19試合で９ゴールと、流石の決定力を発揮。今季は清水に復帰し、ここまで17試合に出場していた。

　ディサロは13日の練習後、囲み取材に応じ、移籍の経緯を次のように明かした。

「早い段階でオファーをいただいていましたが、他のクラブからのお話もあって、検討した結果、このタイミングでの移籍になりました。僕をフォワードで使ってくれるということでしたし、湘南のサッカーにフィットできる自信があったので、決断しました」

　あくまで、FW起用にこだわるディサロ。清水では中盤やサイドハーフで起用されるゲームもあり、ストライカーならではの悩みも抱えていたようだ。

「清水でなかなか試合に絡めない時もありましたし、自分の本来のスタイルを発揮しづらいポジションで出場せざるを得ないチーム状況でした。やはりゴール前でのアイデアや迫力が僕の一番のストロングポイントですし、ボックス内で勝負したいです」
 

　FWで勝負する時間が長かった北九州と山形では、いずれも出色の出来を見せている。湘南でも、３－５－２の２トップの一角で起用されるだろう。ディサロは新天地での出場が待ち遠しい様子だ。

「自分はボックスストライカーです。小野瀬（康介）選手や山田（直輝）選手、おーちゃん（大橋祐紀）ら、攻撃で局面を変えられる選手がいるので、コミュニケーションを取りながら僕の武器を把握してもらって、活かしてもらえるようにしたい。また、僕も良い動き出しでボールを引き出して、得点に絡みたいです」

　テクニックに秀でた小野瀬や山田は、ディサロの巧みな背後への抜け出しを見逃さないだろう。「僕が法政大で、おーちゃんが中央大。大学も近かったですし、選抜も一緒で、同い年なので仲が良い」という大橋と形成する２トップも、すぐに機能し始めそうだ。

「チームのために活躍した先に、さらに上への道が広がっているはずなので、まずはチームのためにゴールを取ります」

　現在、J１で最下位に沈む湘南を引き上げるゴールに期待だ。

取材・文●岩澤凪冴（サッカーダイジェスト編集部）

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