[ルヴァン杯・第６節] 湘南２－３川崎／６月18日／レモンガススタジアム平塚

　ルヴァンカップのグループステージ、グループBの最下位で最終戦を迎えた川崎は、プライムステージ進出には勝利が絶対条件で、尚且つ他会場の結果にも委ねられる状況だった（各グループの１位〈５チーム〉と各グループの２位のうち成績上位３チームの計８チームが勝抜け）。

　しかし必勝を期した湘南戦で、後方を３枚で回す戦い方が上手くハマらなかった川崎は、開始６分に大橋祐紀に先制ゴールを奪われると、微調整を加えながら反撃を試みた後半も、59分に再び大橋に決められて厳しい立場に追いやられた。

　だが、ここで途中交代で入った３人がチームのピンチを救う。73にMF瀬古樹、88にFW山田新、90＋４分にFW遠野大弥が連続でゴールを決めて大逆転に成功したのだ。

　もっとも、勝点８で同グループの浦和、清水と並んだが、レギュレーションで３位となり、グループステージ敗退が決まった。

　残念な結果ではある。それでも、反撃の狼煙となる見事なミドルを突き刺すなど躍動した瀬古の姿が印象に残った人も少なくないのではないだろうか。特にゴール後と試合終了のホイッスルを聞いた瞬間の魂のこもったガッツポーズには、グッとくるものがあった。その話を本人に振れば、熱い言葉が返ってくる。

「僕自身、最近、またスタメンで出られる時間が減り、そういったなかでチャンスをもらえたら、常に結果を出したいと思っていましたし、悔しさが強いなかで、チームを変える、自分で結果を残す、ギラつきというのは出したいなと考えていました。

　前節のリーグ戦（広島戦／〇１－０）も（ベンチに入ったフィールドプレーヤーで）自分だけ出られなかったので、そういう悔しさもあって。だから点を取れて、チームを逆転にもってこられたというのは、自分にとってもポジティブで、そういう感情になりました」
 

　移籍１年目の昨季は出場機会が限られ葛藤を抱えつつ、それでも努力を続けてきた男は、今季４-３-３のインサイドハーフとしてを出番を増やしていた。しかし、ここ数試合の中盤はジョアン・シミッチ、脇坂泰斗、大島僚太の３人が“定番”に。前述の通り、悔しさもあったはずだが、練習場では常に前を向く瀬古の姿があった。

「なかなか出られない試合が続いていますが、これと言って変えようと思っていることは特にないんです。僕は多分、今出てる３人よりも質の部分で差があり、多少ミスが多いと感じています。そこをなくしていく意味では、安パイなプレーを増やしてミスを減らすのではなく、どんどんチャレンジして、成功回数を増やすことを考えています。だから今は凄く良い時間というか、外から見てても、３人から盗めるところも多いですし、充実してもいるんです」

　決して腐らず、自分のやるべきことをする。常に真摯に練習に取り組んできたからこそ、大事な場面で結果を残せたに違いない。

「練習していることが、細かい部分ではありますが、出せましたし、（ネットを揺らしたシーンの）ゴール前でのああいうターンというか、前に持っていく動作なんかは、川崎にくる前の自分は恐らくできなかったです。

　ここにきて、トレーニングが終わった後の自主練であったり、日々の練習をレベルの高い選手たちとやることで、見えるものもありますし、ああいうシーンはヤスくん（脇坂泰斗）や（大島）僚太さんは上手いので、そういう姿を見て、取り組んできたプレーでもあります。

　自分のなかでポリシーとして持っている“やり続けること”が結果につながったと思います。こういう少しずつの積み重ねがあってこそ、信頼を掴んでいくはずなので、改めて続けていきたいです」

　ルヴァンカップは敗退となったが、瀬古のこうした姿は今後の戦いにつながっていくのだろう。それはチームにポジティブな空気をもたらすはずだ。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）

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