バルセロニスタを怒らせた「カテナチオ」…そして大失態も。

バルサが1年以上リーベル・プレートとの交渉を続けた末にようやく手に入れたサビオラは、加入時19歳の少年だったが、いきなりチーム2位の17得点を記録。CLでも臆することなく実力を発揮した彼は、バルセロニスタからの人気も高く、絶対的な存在としてバルサに定着すると思われたのだが……。 (C) Getty Images

終盤戦のバルサの唯一の希望も、宿敵の前に無残にも消え去った。 (C) Getty Images
無冠に終わった前シーズンの途中、ロレンソ・セラ・フェレールの解任を受けて指揮権を引き継いだカルレス・レシャックが、そのまま監督として迎えた2001-02シーズン。捲土重来を期して臨んだシーズンは、しかしさらなる失望をバルセロニスタに与えるものとなってしまった。
ウイングを置かず、新加入のハビエル・サビオラ、パトリック・クライファートの2トップにトップ下のリバウドが絡んで攻撃を展開するというスタイルは、あまりに個の力に頼ったものであり、バルサらしい組織プレーにはまずお目にかかれなかった。
中盤以下の選手はもっぱら、レシャックの守備的戦術においては、相手の良さを消すことばかりに時間を費やすこととなり、ボールを奪ったら即前線の3人にボールを送る様は、「カテナチオ」と表現されるほどだった。
バルサの哲学に対する裏切りとも言えるような戦いぶりに、クラブのフロントからも不満が噴出し、「レシャックにはバルサを指揮する能力はない」という声明文が出され、ジョアン・ガスパール会長が火消しに躍起となる事態も発生した。
このシーズンのバルサの不甲斐なさを最も象徴していたのが国王杯1回戦だ。敵地での一発勝負という不利、格下相手ゆえのプレッシャーがあるとはいえ、実質3部リーグのフィゲラスに0-1で敗れたチームを擁護する者は誰もいなかった。
そしてリーガでも、リバウドが右足首痛に苦しみながらも奮闘し、サビオラ、クライファートが得点を積み重ねていく一方で、白星はなかなか増えていかない。早期の監督解任もあり得たが、チャンピオンズ・リーグ(CL)での不思議なほどの健闘ぶりがレシャックの首を繋ぎ止めていた。
1次リーグではレバークーゼン、リヨン、フェネルバフチェを抑えて首位通過を果たし、2次リーグでもリバプール、ローマ、ガラタサライに競り勝ったバルサは、準々決勝ではオリンピアコスを撃破。この頃になるとバルセロニスタは、CL制覇に一縷の望みを懸けていた。
しかし宿敵レアル・マドリーとの準々決勝は、2試合合計1-3で敗退。得点は相手のオウンゴールだった。この後、マドリーはレバークーゼンとの決勝戦でジネディーヌ・ジダンの歴史に残るスーパーボレーなどによって9回目の欧州制覇を果たし、バルサ(当時の優勝回数は1回)との差を広げるのだった。
リーガでは2シーズン連続での4位フィニッシュ。“カテナチオ”効果か、失点数37は優勝したバレンシアの27(!)に次ぐ2番目の少なさ、得点数65もマドリーに続いての2位と、数字だけ見れば進歩を感じさせたが、実情はその逆と言っても良かった……。
このシーズンも無冠に終わったバルサ。全てにおいて場当たり的かつ付け焼刃的な行ないに終始し、ただバルセロニスタの失望と怒りだけが残った。
そして、監督の手腕がいかに重要かを改めて思い知らされたフロントは、再び“あの男”に白羽の矢を立てることとなる。
ウイングを置かず、新加入のハビエル・サビオラ、パトリック・クライファートの2トップにトップ下のリバウドが絡んで攻撃を展開するというスタイルは、あまりに個の力に頼ったものであり、バルサらしい組織プレーにはまずお目にかかれなかった。
中盤以下の選手はもっぱら、レシャックの守備的戦術においては、相手の良さを消すことばかりに時間を費やすこととなり、ボールを奪ったら即前線の3人にボールを送る様は、「カテナチオ」と表現されるほどだった。
バルサの哲学に対する裏切りとも言えるような戦いぶりに、クラブのフロントからも不満が噴出し、「レシャックにはバルサを指揮する能力はない」という声明文が出され、ジョアン・ガスパール会長が火消しに躍起となる事態も発生した。
このシーズンのバルサの不甲斐なさを最も象徴していたのが国王杯1回戦だ。敵地での一発勝負という不利、格下相手ゆえのプレッシャーがあるとはいえ、実質3部リーグのフィゲラスに0-1で敗れたチームを擁護する者は誰もいなかった。
そしてリーガでも、リバウドが右足首痛に苦しみながらも奮闘し、サビオラ、クライファートが得点を積み重ねていく一方で、白星はなかなか増えていかない。早期の監督解任もあり得たが、チャンピオンズ・リーグ(CL)での不思議なほどの健闘ぶりがレシャックの首を繋ぎ止めていた。
1次リーグではレバークーゼン、リヨン、フェネルバフチェを抑えて首位通過を果たし、2次リーグでもリバプール、ローマ、ガラタサライに競り勝ったバルサは、準々決勝ではオリンピアコスを撃破。この頃になるとバルセロニスタは、CL制覇に一縷の望みを懸けていた。
しかし宿敵レアル・マドリーとの準々決勝は、2試合合計1-3で敗退。得点は相手のオウンゴールだった。この後、マドリーはレバークーゼンとの決勝戦でジネディーヌ・ジダンの歴史に残るスーパーボレーなどによって9回目の欧州制覇を果たし、バルサ(当時の優勝回数は1回)との差を広げるのだった。
リーガでは2シーズン連続での4位フィニッシュ。“カテナチオ”効果か、失点数37は優勝したバレンシアの27(!)に次ぐ2番目の少なさ、得点数65もマドリーに続いての2位と、数字だけ見れば進歩を感じさせたが、実情はその逆と言っても良かった……。
このシーズンも無冠に終わったバルサ。全てにおいて場当たり的かつ付け焼刃的な行ないに終始し、ただバルセロニスタの失望と怒りだけが残った。
そして、監督の手腕がいかに重要かを改めて思い知らされたフロントは、再び“あの男”に白羽の矢を立てることとなる。

監督:カルレス・レシャック(スペイン)
その他の主なプレーヤー:GK レイナ、デュトルエル、DF セルジ、P・アンデション、レイツィハー、アベラルド、ナバーロ、MF ガブリ、ロッケンバック、モッタ、ジェラール、FW リバウド、オーフェルマルス、ジェオバンニ、アルフォンソ

慢性的な足首痛に苛まれ、さらに終盤戦には右ひざも痛めたリバウド。満身創痍ながら奮闘する彼のバルサでの勇姿も、このシーズンで見収めとなった。 (C) Getty Images
◎2001-02シーズン成績
リーガ:4位(18勝10分け10敗・65得点37失点)
国王杯:1回戦敗退(対フィゲラス)
チャンピオンズ・リーグ:準決勝敗退(対レアル・マドリー)
チーム内得点ランキング(リーガ):クライファート(18点)、サビオラ(17点)、リバウド(8点)、L・エンリケ(4点)、シャビ(4点)、コクー(2点)、ロッケンバック(2点)、ガブリ(2点)、プジョール(2点)、ジオバンニ(1点)、モッタ(1点)、ココ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
GK ボナーノ(←リーベル・プレート)
DF ココ(←ミラン)
DF クリスタンバル(←モナコ)
DF P・アンデション(←バイエルン)
MF ロッケンバック(←インテルナショナル)
MF モッタ(←ユースから昇格)
FW サビオラ(←リーベル・プレート)
FW ジェオバンニ(←クルゼイロ)
◇OUT
夏
GK アルナウ(→マラガ)
MF グアルディオラ(→ブレッシア)
MF ゼンデン(→チェルシー)
MF シモン(→ベンフィカ)
MF プチ(→チェルシー)
MF デ・ラ・ペーニャ(→ラツィオ)
冬
FW アルフォンソ(→マルセイユ)
リーガ:4位(18勝10分け10敗・65得点37失点)
国王杯:1回戦敗退(対フィゲラス)
チャンピオンズ・リーグ:準決勝敗退(対レアル・マドリー)
チーム内得点ランキング(リーガ):クライファート(18点)、サビオラ(17点)、リバウド(8点)、L・エンリケ(4点)、シャビ(4点)、コクー(2点)、ロッケンバック(2点)、ガブリ(2点)、プジョール(2点)、ジオバンニ(1点)、モッタ(1点)、ココ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
GK ボナーノ(←リーベル・プレート)
DF ココ(←ミラン)
DF クリスタンバル(←モナコ)
DF P・アンデション(←バイエルン)
MF ロッケンバック(←インテルナショナル)
MF モッタ(←ユースから昇格)
FW サビオラ(←リーベル・プレート)
FW ジェオバンニ(←クルゼイロ)
◇OUT
夏
GK アルナウ(→マラガ)
MF グアルディオラ(→ブレッシア)
MF ゼンデン(→チェルシー)
MF シモン(→ベンフィカ)
MF プチ(→チェルシー)
MF デ・ラ・ペーニャ(→ラツィオ)
冬
FW アルフォンソ(→マルセイユ)