【リーガ現地コラム】バロテッリにも喩えられるスペイン代表期待の逸材ウィリアムス

カテゴリ:連載・コラム

豊福晋

2015年11月27日

観る者の度肝を抜いた一撃はリーガのベストゴールとも。

ガーナ人の父とリベリア人の母の間に生まれたウィリアムス。圧倒的な身体能力に加え、スペイン育ちならではの足技も光る万能性の高いFWだ。(C)REUTERS/AFLO

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 おそらくいま、リーガ・エスパニョーラでもっとも注目を浴びているFWだろう。

 イニャキ・ウィリアムス――。

 リーガ11節のエスパニョール戦、後方からの浮き球のパスに、巧みなトラップでふたりのDFの隙間をすり抜け、そのままボレーで突き刺してアスレティック・ビルバオに先制点をもたらした一撃は、観る者の度肝を抜いた。テクニックと豪快さ、そしてアイデアがミックスされたこの美しいゴールは、繰り返しテレビで放映されている。間違いなく、今シーズンのリーガのベストゴールのひとつだ。

 ウィリアムスに流れるのは、ガーナとリベリアの血。しなやかな大腿部をひと目見みれば、抜群の身体能力が備わっていると容易に想像できる。それでいて、ビルバオに生まれ16歳からレサマ(A・ビルバオの下部組織)でハイレベルな指導を受けたからだろう、プレーからはバスクとスペインの匂いが漂ってくる。

 CF、ウイング、トップ下を自在にこなすプレーの幅の広さに加え、エスパニョール戦で見せたように、DFに囲まれてもものともしない確かな技術と力強さが彼の特長。爆発的なスピードを活かしたサイド突破や、細かいパス回しに加われる器用さにも定評があり、ハードワークを厭わず、守備の局面でもしっかりとタスクをこなす献身性も、エルネスト・バルベルデ監督の高い評価を得ている。

「スペイン代表の前線に欠けているのは、彼みたいな選手だ」

 そんな声も聞こえてくる。

 ダビド・ビジャが抜けてからというもの、スペイン代表にはCFとウイングをこなせる得点力のあるFWがいない。シーズン終了後にビセンテ・デル・ボスケ監督が発表するEURO2016の登録メンバーに驚きの名前が入るとすれば、この男ではないか。代表ではジエゴ・コスタがパッとしない。最前線の枠を狙うなら、いまがチャンスだ。
 
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