２月18日のフェイエノールト対AZは１-１のスコアで後半アディショナルタイムに入った。首位フェイエノールトを勝点２差で追う２位のAZにとって、敵地での引き分けはまずまずの結果だったはず。しかし、フェイエノールトの右SBマルクス・ホルムグレン・ペデルセンがボックス外から蹴ったクロス気味のボールが、AZの選手に当たってゴールに吸い込まれて負けてしまった。

　試合後、しばらくAZの菅原由勢はピッチの上に倒れ込んでしまった。悔しさをどこにぶつければいいのか分からない――。そんな彼の感情が、遠くスタンドにいる者にも伝わってきた。

　試合が終了して30分ほどが経ち、インタビュールームに姿を現したときも、「こういった形で負けたのは非常に悔しくて、消化するのが難しい」と憤懣やる方ない様子だった。

「アンラッキーな形で決勝点を入れられたのは、起こるべくして起こったこと。そのことに自分たちは気付かないといけない。例えばフェイエノールトにコーナーキックを与えてなかったら、あの失点はなかった。情けないの一言に尽きます。今日は天王山。決勝戦のような試合でした」
 

４万7500人の大観衆のほとんどがスタジアムを去ってもなお、フェイエノールトのサポーターたちが凱歌をあげる声がインタビュールームに届いていた。AZとの差を勝点５まで広げることが出来たのだ。彼らが高揚する気持ちもわかるし、菅原の怒り混じりの悔しさもわかる。しかし、オランダリーグはまだ22節。終盤戦はこれからだ。

　AZに来て４シーズン目、菅原はトップチームで139試合プレー。リザーブチーム（オランダ２部リーグ）も含めると公式戦出場は151試合にもなる。今季はオランダリーグで３ゴール・６アシストとキャリアハイを更新中。特に１月25日の対ゴー・アヘッド・イーグルス戦で１ゴール・２アシストのど派手な活躍でメディアを賑わせ、『フットボール・インターナショナル』誌の２月８日発売号では４ページのロングインタビューが掲載された。

　17歳でJ１デビューを果たしたものの、AZに移籍する前の13か月間、菅原はJ１でまったく出場機会がなかった。U－20ワールドカップでスカウトの目に止まり、AZ移籍を勝ち取ったことで、実戦の経験をたくさん積んで成長にブーストをかけることが出来た。
　
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