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「ハイライン守備を支える強いバックボーン」現役監督がアーセナルの若きCBサリバを徹底解剖【前編】

カテゴリ:メガクラブ

ロベルト・ロッシ

2023年01月31日

エムバペに並走してクリアする場面も一度ならず見せている

アーセナル1年目でレギュラーに定着したサリバ。(C)Getty Images

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 CBとしての守備のパフォーマンスに加え、攻撃の起点としても貢献しているのが、アーセナルのウィリアム・サリバだ。プレミアリーグ1年目ながら大きな存在感を見せているこの21歳は、一体なにが優れているのか。現役イタリア人監督のロベルト・ロッシ氏がサリバの能力を徹底解剖する(前編)。

―――◆―――◆―――

 2021-22シーズンにレンタル先のマルセイユで大きな成長を遂げ、アーセナルに呼び戻された今シーズン、サリバは開幕から4バックの右CBに定着。21歳の若さに似合わぬ冷静さとミスの少ないパフォーマンスで、プレミアリーグの首位戦線をリードするチームの最終ラインを支えている。

 192センチの長身ながら、コーディネーション(運動協調性)に優れたエレガントな身のこなしが光り、スピードとアジリティーは標準以上。テクニックも十分なレベルにあり、現代のCBには不可欠なビルドアップへの参加も難なくこなす。

 際立った長所があるわけではないが、目立った弱点や欠点もまったくなく、すべての面で高いレベルにある優等生タイプのCBだ。傑出した長所がない分、そのパフォーマンスは地味に映るかもしれないが、どんな状況でも行なうべきプレーを正しく的確に実行できる意味では非常に信頼できる。ミケル・アルテタ監督がサリバを評価して重用する理由もまさにそこにある。
 
 今シーズンは、左利きのガブリエウ・マガリャンイスとペアを組む形で4バックの右CBとしてプレー。「本職」の守備での高いパフォーマンスはもちろん、攻撃の局面においても、シンプルながら効果的なパスワークで最終ラインからのビルドアップに地味ながら質の高い貢献を果たし、チームの躍進を支えている。

 190センチを超える上背があるが、例えばフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)やカリドゥ・クリバリ(チェルシー)のような体重が90キロ前後の重量級ではなく、やや細身でバランスの取れた体格(体重は82キロ)。

 冒頭で述べた通り、優れたコーディネーションの持ち主で、歩幅が比較的大きいため、狭いスペースで小回りが利くとは言えない。それでも、体格からすれば十分以上と評価できるだろう。

 一旦スタートを切れば加速、トップスピードとも水準を大きく上回るレベルにあり、オープンスペースでの走り合いならスピード自慢のアタッカーとも互角以上に渡り合う。リーグ・アン時代には、裏に抜け出したエムバペに並走してクリアする場面も一度ならず見せている。
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