「SOCCER MEDICAL CAMP」はJYD（JFA Youth & Development Programme）オフィシャルパートナーであるニチバン株式会社と日本サッカー協会の共催で2019年にスタートした次世代のアスレティックトレーナー育成プロジェクトです。

　ここでは8月23日から始まった「第3回 SOCCER MEDICAL CAMP」の5日目と最終日の様子をレポートしていきます。

※本記事は2022年12月8日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。

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「第3回ＳＯＣＣＥＲ　ＭＥＤＩＣＡＬ　ＣＡＭＰ」の5日目は、10月12日（水）にオンラインで行なわれました。

　まず、サッカー選手の栄養についての講義です。石井美子先生は、アスリートの3本柱として運動、栄養、休養を挙げ、アスリート本人と周囲が協力してバランスを整える重要性を伝えました。続いて、加藤晴康先生は、成長期の障害が起こる原因や解決法を、受講生の反応を見ながら、分かりやすく解説しました。

　キャンプの最終日は、ＪＦＡハウスに場所を移して、実地 講習です。まずは、日本サッカー協会の影山雅永ユース育成ダイレクターが登壇。監督、コーチが、メディカルスタッフに求める要素や役割、国際大会での知られざる活躍を紹介しました。

　続いて19名の受講生が3グループに分かれての成果発表です。各グループは「アスレティックトレーナーの職場環境を整えるためには」という規定課題と、今回初めて与えられた自由課題を発表しました。自由課題では、ニチバン株式会社の製品に触れ、そのクオリティに感動したというグループが、製品の感想や想定される使用法などを発表しました。各グループの発表後には、トップトレーナーからプレゼンテーションに対する意見、感想が述べられました。

　修了式でも、日本サッカー協会の宮本恒靖理事から、講義内容について抜き打ちで質問が飛ぶなど、最後まで油断のできないキャンプでした。修了証を手にした受講生は、これからも研鑽を積み重ね、トップトレーナーを目指していきます。

　5日目（10月12日）と最終日（10月22日）の講義概要は以下のとおり。

●5日目（10月12日）

「サッカー選手の栄養」

　石井美子先生は、運動（トレーニング）、栄養（食事）、休養（睡眠）の相互に及ぼす影響を解説しました。また、現場で効果を上げるためには、各選手、各チームの環境に沿った柔軟な指導の必要性を伝えました。講義の終了後には、受講生から、現場で直面する食事の問題解決法を求める声が相次ぎました。
 
石井美子（日本サッカー協会医学委員会　栄養サポート部会員）


「サッカー選手の外傷・障害（成長期の障害）」

　オンライン講義の最終回は、加藤晴康先生によるサッカー選手の外傷・障害の授業でした。オスグッド・シュラッター病と大腿四頭筋タイトネスの因果関係などでは、一般的な定説だけでなく、教本に載っていない仮説なども紹介しながら、受講生の興味を引く講義を行いました。
 
加藤晴康（日本サッカー協会医学委員会）


●最終日（10月22日）

「チームで求められるＡＴの役割」

　年代別代表を含め、多くのチームで監督を歴任した影山雅永ユース育成ダイレクターが、日本サッカーの方向性や、その中でメディカルチームに与えられた役割を解説しました。メディカルチームの働きがチームの勝利を呼び込んだエピソードや、仕事に向き合う影山氏の考えに、受講生は感銘を受けていました。

 
影山雅永（ＪＦＡユース育成ダイレクター）


「成果発表」

　受講生は3グループに分かれ、パワーポイントを使いながら、2回ずつプレゼンを行いました。全チームの発表が終わった後には、代表チームで活躍する先輩トレーナーたちからも「自分自身、初心に戻る良い機会になった」「周囲の人と良い人間関係を築いてほしい」といった感想、アドバイスが出ていました。

「修了式」

　修了式には、日本サッカー協会の宮本恒靖理事らも出席し、全６日間の課程を修了した受講生に激励の言葉を送りました。19名の受講生はひとりずつ、このキャンプで得られた経験と収穫、今後の目標を語り、日本代表の前田弘トレーナーから修了証を受け取り、記念撮影を行いました。