「SOCCER MEDICAL CAMP」では、将来、サッカー界でアスレティックトレーナー（以下AT）として活動を志す方を対象に、日本サッカー界のメディカル領域で活躍するスタッフが直接セミナー機会（1コマ60分～90分）を提供し、サッカーの現場で求められる知識、経験、考え方を伝えながら、次世代のＡＴ育成を目指します。昨年はコロナ禍で中止となりましたが、この秋、オンライン講義と現場での実技研修を通して、再スタートが切られました。
初日の開講式では、日本サッカー協会の須原清貴専務理事が「最高レベルのスキル、技術、知識を身につけて、日本のスポーツ界を発展させるきっかけになると期待しています。トップアスリートを支えるトレーナーを目指し、グラスルーツのプレーヤーにも正しい知識とメンテナンスを届けてください」とあいさつしました。
また、ニチバン株式会社上席執行役員でコンシューマー営業本部長の藤川智氏は「このSOCCER MEDICAL CAMPは、ニチバンがメディカルの分野から、トップレベルだけでなく、グラスルーツも支えていきたいという観点で開催しています。この講義を受講後、サッカーとスポーツ界全体を、メディカルで支える気概を持ってもらえたら」と、このプロジェクトへの想いを語りました。
「第2回 SOCCER MEDICAL CAMP」は10月30日（土）の最終日まで、8日間に分けて行なわれる予定です。
■初日（9月11日）
開講式・概要説明・自己紹介他
開講式の後に、菊島良介氏からキャンプの概要、企画意図、ATとしての心構えが伝えられました。続いて、第1回の受講生でもある横田沙也香氏が現在働くJFAアカデミー今治の現場と、ご自身のキャンプ参加経験を披露しました。その後、受講生21名 （19～26歳）が画面越しに自己紹介。最後に、前田弘氏が「目標、志を持っている人は、目指すところにたどり着く。対面で話を聞けるのを楽しみにしています」と激励して、初日を締めくくりました。
■2日目（9月15日）
膝の外傷・筋損傷とスポーツ救命
講師 武冨修治
（東京大学／日本サッカー協会医学委員会）
サッカー選手の外傷と障害について、武冨修治先生と福島理文先生の講義が行なわれました。武冨先生は、サッカーにおける外傷の発生率や重症度の集計値などを用いて、肉離れ、膝の外傷などを解説しました。福島先生は、脳振盪と熱中症について、その症状と大きなリスクを解説。脳振盪への対応と復帰プログラム、熱中症の予防方法などを示しました。
■3日目（9月22日）
JFA＋PUSHコース
講師 福島理文
（順天堂大学／日本サッカー協会医学委員会スポーツ救命部会員）
スポーツ現場での死亡事故をなくすため、福島理文先生による救命処置の講義が行なわれました。動画を使いながら、胸骨圧迫＝心臓マッサージのやり方と、AEDの使い方、その有効性をレクチャー。その後、受講生がクッションなどを使って救命処置の流れを体験、確認し、福島先生がこれを画面越しにチェックしました。
■4日目（9月29日）
足関節の障害とJリーグドクターの仕事
講師 立石智彦
（同愛記念病院／日本サッカー協会医学委員会）
立石智彦先生が2コマを担当。前半は、足関節の障害とそれぞれへの対処法。外国人選手に比べて日本人選手が発症する割合の高い“Jones骨折”について、詳しい解説がありました。後半は、Jリーグドクターとしての役割とトレーナーとの連携を、ご自身の現場経験とメディカルスタッフのサークルから集めた意見をベースに、受講生へ伝えました。
講師陣（写真左から）武冨修治先生、福島理文先生、立石智彦先生
取材・文 西森彰（フリーライター) 写真提供：日本サッカー協会
（『サッカ―ダイジェスト』11月11日号より転載）
定価：800円（税込）
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