「長沢だけに合わせた」のコメントに滲み出たキックへの自信。
これぞキックの名手というアシストだった。
G大阪が1点リードで迎えた59分、セットプレーのキッカーは遠藤保仁。浦和のエリア付近で両軍が入り乱れるなか、背番号7の正確無比なパスから途中出場の長沢駿が頭で合わせた。結果的にこれが決勝弾となり、G大阪は2-1で勝利を収めたのだ。
この試合でJ1通算500試合出場を飾った遠藤は、FKの場面についてこう振り返る。
「フェイントをかけた時の状況で決めようと思っていたので、(事前には)なにも考えていなかった。一回フェイントをかけた時に、長沢の動きも見えた。ちょうど良い角度とスピードで入って来たので、あれは長沢だけに合わせて蹴った。1点目同様、多分、(長沢が)触らなくても入っていたと思う。あれだけ高い選手がいるとターゲットにもしやすい」
「長沢だけに合わせた」「触らなくても入っていたと思う」の言葉に、キックへの自信とベテランの矜持が滲み出ていた。
浦和戦ではパトリックや倉田秋を出場停止で欠き、遠藤はトップ下でフル出場。「今までもやっていたので、特に問題はなかった」と序盤からチャンスに絡み、開始7分には阿部浩之のクロスに飛び込むと、直接触りこそしなかったが、ボールはそのままゴール左隅へ。ボランチからトップ下にポジションを変えても、状況を見極める判断力と急所を見抜く嗅覚は群を抜いていた。
終わって見れば、遠藤は全2得点に絡む活躍で勝利に貢献。自らのメモリアルマッチに花を添える形となった。