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「ただ良いプレーをしたいから」。中村俊輔はいつもどおりの“幸せ”を感じながら、ピッチに別れを告げた

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2022年10月24日

腕章を託されて、今季初スタメン

現役ラストマッチでも感傷的にはならなかったという俊輔。いつもどおりに質の高いプレーで観る者を楽しませた。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

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 1年でのJ1復帰を決めている横浜FCが、10月23日に行なわれた2022年シーズンの最終節を白星で飾った。アウェーでの熊本戦、一時は1-3と2点のビハインドを背負ったが、怒涛の反撃を見せて4-3と試合をひっくり返し、劇的な逆転勝ちを収めた。

 前節にはホーム最終戦となる金沢戦を戦う前に、他会場の結果によってJ1昇格が確定した。ただ、金沢戦は2-3と競り負けて2連敗。その時点でJ2優勝の芽も消えた。

 熊本戦を落とせば3連敗。「ちょっと最後、落ちたみたいな感じになっちゃうから」と危惧していたのは、今季限りでの引退を表明していた中村俊輔だ。

 自身の“現役ラストマッチ”となる熊本戦で、俊輔は今季初先発。監督やチームメイトのはからいで、キャプテンマークをつけてピッチに立ち、60分までプレーした。

 何よりもチームの勝利を喜んだ。「4-3。良い試合でしょ」と感じ入る。「俺が最後だから、とかじゃなくて、みんなが戦う気持ちでできたのがすごく嬉しい」。
 
 俊輔にとってはプロ選手として最後のゲームだったが、そうしたシチュエーションで感傷に浸るようなことはなかったという。

「最後だからなんか、っていうのは、本当にないです。ただ良いプレーをしたいから、スパイクを選んだり、一昨日から、ルーティーンじゃないけど、何が一番良いのか、足首はこうだからなるべく負担がかからないように、とか」

 試合に向けた通常の作業が、ただただ「楽しい」だけ。「それができるのが、実は幸せなんじゃないですか」と噛みしめるように言う。

 26年のプロキャリアに幕を閉じた一戦は、本人からすれば「メンタル的には、いつもどおり」。これまでと変わらぬ準備をして試合に臨み、チームの勝点3に笑顔を見せて、希代のファンタジスタはピッチに別れを告げた。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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