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10年で5度の欧州制覇…“至高のマネジメント”を見せるR・マドリー。アンチェロッティは次のサイクルに移行を…

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2022年10月12日

「11対11で戦えば、最後はマドリーが勝つ」

アンチェロッティ監督(左)が才能を開花させたひとりが、ヴィニシウス(右)だ。(C)Getty Images

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 どんなに栄えた文化も爛熟し、いつしか退行する。大国は隆盛を迎えた途端、没落を始める。あるいは、月は満ちたら欠ける。

 それは、どうすることもできない「理」である。

 サッカーチームも、同じことが当てはまる。同じ戦いをずっと続けることはできない。一人の指揮官が作り上げるスパンは、3、4年が限界と言われる。それ以上、強さを維持できているチームは、「神がかった変化の対応」を見せている。

 一つは、選手を入れ替える。それも、同じタイプの選手を望むのではない。違うやり方で、違う選手で、それまで以上のプレー構造を再び作り上げる。注意すべきは、がらりと作り替えると、様々なノッキングが出るし、それに巻き込まれると改革は進まない。変化は常に忍ばせるように行い、滑らかに作り替えるべきだ。

 その点、過去10年のレアル・マドリーは至高のマネジメントを見せている。

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 2013-14シーズン、カルロ・アンチェロッティ監督が率い、欧州チャンピオンズリーグ(CL)に優勝。2015-16シーズンから2017-18シーズンまではジネディーヌ・ジダン監督が率い、3連覇で欧州王者に君臨した。そこからジダンが戻って2019-20シーズンは国内リーグを制覇し、さらにアンチェロッティの帰還で2021-22シーズンには再び、欧州王者、スペイン王者に復権した。

 これだけ時を経て、安定して強さを見せられているチームは、他に見当たらない。過去10年で、5度も欧州戴冠(他にバイエルン・ミュンヘンが2度、バルセロナ、リバプール、チェルシーがそれぞれ1度)。主力の半数近くが「10年戦士」と最小限の変化で、最大の成果を出している。

 やはり、リーダーの力量が際立つ。

 ジダンも、アンチェロッティも慧眼の持ち主で、選手の可能性を信じられるのだろう。かつてジダンは、獲得が内定していたGKの入団に「待った」をかけたことがあった。クラブ幹部に睨まれるのを承知で、「我々にはすでに素晴らしいゴールキーパーがいる」と選手と一蓮托生を示した。アンチェロッティも、どれだけ不振でも選手を鼓舞し、マルセロ、イスコ、ガレス・ベイルの才能を余さず使った。

 その指揮官の存在で、選手も腐らずに信頼にこたえようとする。クリスティアーノ・ロナウドが抜けた穴も、セルヒオ・ラモスが去った穴も瞬く間に埋まった。むしろカリム・ベンゼマは覚醒したし、新たに獲得したダビド・アラバは相棒であるエデル・ミリトンの良さまで引き出し、ディフェンス全体がむしろ強くなっている。

 今シーズンも、マドリーはチームの作り替えに余念がない。これまで守備のフィルターとして戦術軸になってきたMFカゼミーロも7200万ユーロ+出来高1300万ユーロで売却。不安の声も聞こえたが、開幕戦ですでに2年目のエドゥアルド・カマビンガ、1年目のオーレリアン・チュアメニを新システムで先発させ、布石は打っていたのだ。

 アンチェロッティ監督は、チームを次のサイクルへ移行させつつある。その手並みは実に鮮やかで、なかなか真似られるものではない。

「11対11で戦えば、最後はマドリーが勝つ」

 そう畏怖されるほどの勝負強さにつながっているのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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