札幌と神戸は胸を撫で下ろしたに違いない
今季のJ1リーグも残り3節。多くのチームが巻き込まれていた大混戦の残留争いも、決着の時が近づいてきた。本稿では、スポーツライターの加部究氏に、クラブの現状や今後の対戦カードなどを踏まえ、“サバイバル”の行方を占ってもらった。
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日本代表戦期間の休養を控えて、J1では実に半数近い8チーム程度が降格への危機を感じていたはずだ。だが再開した第31節の試合を終えて、おそらくふたつのチームが程度の差こそあれ胸を撫で下ろしたに違いない。
まず史上初めて北海道に到来した10月の真夏日に川崎を迎えた札幌は、激闘の末に相手を優勝争いから引きずり下ろし、勝点を38まで伸ばした。もちろん数字上危機は去っていないが、下位との勝点差や見下ろせば7チームがひしめく状況を踏まえれば、来年も同じカテゴリーで戦えることは保証されたに等しい。
またアンドレス・イニエスタを筆頭に大物外国人の獲得でリーグに新風を巻き起こした神戸は、皮肉にも同日のピッチに全員日本人選手で臨んだ。豪華ラインナップから優勝候補に推す声も少なくなかった神戸は、暫く最下位に低迷し6月末には早々と全幅の信頼で招聘したはずのロティーナを解任していた。
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日本代表戦期間の休養を控えて、J1では実に半数近い8チーム程度が降格への危機を感じていたはずだ。だが再開した第31節の試合を終えて、おそらくふたつのチームが程度の差こそあれ胸を撫で下ろしたに違いない。
まず史上初めて北海道に到来した10月の真夏日に川崎を迎えた札幌は、激闘の末に相手を優勝争いから引きずり下ろし、勝点を38まで伸ばした。もちろん数字上危機は去っていないが、下位との勝点差や見下ろせば7チームがひしめく状況を踏まえれば、来年も同じカテゴリーで戦えることは保証されたに等しい。
またアンドレス・イニエスタを筆頭に大物外国人の獲得でリーグに新風を巻き起こした神戸は、皮肉にも同日のピッチに全員日本人選手で臨んだ。豪華ラインナップから優勝候補に推す声も少なくなかった神戸は、暫く最下位に低迷し6月末には早々と全幅の信頼で招聘したはずのロティーナを解任していた。
結局、吉田孝行監督が自身3度目の出陣となり、そこからは沈みかけた船を引き上げるために試行錯誤を続ける。そして第31節は、互いに勝ち点31で並ぶ福岡との直接対決になり、チームは登録選手全員で敵地へと向かった。
神戸は21分、GK飯倉大樹が一気に最前線へボールを蹴り込むと、大迫勇也が直接巧みに収め、左から汰木康也の折り返しを相手DFの鼻先に飛び込んだ小林祐希が頭で合わせて先制。
これが決勝ゴールとなり、3連勝の神戸は12位まで浮上。残留を争うライバルと比較すれば神戸の戦力は突出しているので必然の巻き返しとも言えるが、指揮権を引き継いでから7勝3敗2分けと勝ち越してきた吉田体制への転換は、ひとまず最悪の事態回避へと向かっている。
神戸は21分、GK飯倉大樹が一気に最前線へボールを蹴り込むと、大迫勇也が直接巧みに収め、左から汰木康也の折り返しを相手DFの鼻先に飛び込んだ小林祐希が頭で合わせて先制。
これが決勝ゴールとなり、3連勝の神戸は12位まで浮上。残留を争うライバルと比較すれば神戸の戦力は突出しているので必然の巻き返しとも言えるが、指揮権を引き継いでから7勝3敗2分けと勝ち越してきた吉田体制への転換は、ひとまず最悪の事態回避へと向かっている。