フランクフルト戦で見せた極意
「横槍を入れる」
それが軍と軍が対峙した時、最も有効に相手にダメージを与えられる。入り乱れた軍同士が横合いから攻めかかられると、分断を生じさせる。立ち往生し、混乱は増幅。それによって、正面からの攻撃も有力になって、嵩にかかって攻められる。
サッカーで言えば、横槍を入れるのはサイドアタッカーの役割になる。FCバルセロナのフランス代表ウスマンヌ・デンベレは、その最高の使い手の一人だろう。スピードに乗った仕掛けでサイドを崩し、ラインを押し下げ、バックスの前を横切るようなパスやクロスでアシスト。揺さぶりは強力なダメージを与え、ゴールにつながる。
しかし、横槍を入れられることは敵も十分に警戒している。サイドからの攻撃を防御するような陣形を組み、揺さぶりを許さない。よしんば、サイドを破られたとしても、中央は分厚く守る。
今や世界最高のストライカーと言えるフランス代表カリム・ベンゼマは、その点、「味方の横槍を誘い込む天才」である。ベンゼマは独特の動き方やリズムの取り方によって、サイドからのボールを呼び込める。一瞬の間合いでマークを外し、ファーに逃れながら、シュートポジションを作り出せる。横からの崩しが不十分で、相手が人数は揃っていたとしても、最大限な優位を作って守備陣を無力化できる。
【動画】抜群の動きと多彩なフィニッシュ!ベンゼマの圧巻ゴール集
それが軍と軍が対峙した時、最も有効に相手にダメージを与えられる。入り乱れた軍同士が横合いから攻めかかられると、分断を生じさせる。立ち往生し、混乱は増幅。それによって、正面からの攻撃も有力になって、嵩にかかって攻められる。
サッカーで言えば、横槍を入れるのはサイドアタッカーの役割になる。FCバルセロナのフランス代表ウスマンヌ・デンベレは、その最高の使い手の一人だろう。スピードに乗った仕掛けでサイドを崩し、ラインを押し下げ、バックスの前を横切るようなパスやクロスでアシスト。揺さぶりは強力なダメージを与え、ゴールにつながる。
しかし、横槍を入れられることは敵も十分に警戒している。サイドからの攻撃を防御するような陣形を組み、揺さぶりを許さない。よしんば、サイドを破られたとしても、中央は分厚く守る。
今や世界最高のストライカーと言えるフランス代表カリム・ベンゼマは、その点、「味方の横槍を誘い込む天才」である。ベンゼマは独特の動き方やリズムの取り方によって、サイドからのボールを呼び込める。一瞬の間合いでマークを外し、ファーに逃れながら、シュートポジションを作り出せる。横からの崩しが不十分で、相手が人数は揃っていたとしても、最大限な優位を作って守備陣を無力化できる。
【動画】抜群の動きと多彩なフィニッシュ!ベンゼマの圧巻ゴール集
先日の欧州スーパーカップ、フランクフルト戦も、ベンゼマはその極意を見せている。
前半、右に開いたトニ・クロースはまだブロックの外側で、横槍を入れられるほどに崩していたわけではなかったが、相手のディフェンスラインがやや乱れながら引いていくのを見て、その前を横切るようなボールを入れた。ベンゼマはこれに対し、三方から囲まれているのを意識しながらも、その誰も手出しができないところへ向かって、やや後ろにステップを踏んで陣取る。そして入ってきたボールを左足で目の前にボールをコントロールし、わざとバウンドさせると、右足アウトのハーフボレーで左を狙った。
わずかに外れたが、隙間に入って確保したスペースで、迅速にシュートまで至った芸当は、名人的だったと言えるだろう。
そして後半には、今度は左からロドリゴがやはりバックラインの前に流し込んだグラウンダーのパスに対し、ベンゼマはやはり少し遠ざかりながらボールを受けている。これで、狡猾にシュートポジションを作った。そして右足ダイレクトで、左へ打ち込んでネットを揺らした。
誰もが横槍を入れることは狙っている。サイドに崩し切れる力がいる選手か、呼応できるだけの中央の選手がいるか。あるいはそのどちらもいてこそ、相手の想定を上回ってこそ、この攻撃は完遂されるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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前半、右に開いたトニ・クロースはまだブロックの外側で、横槍を入れられるほどに崩していたわけではなかったが、相手のディフェンスラインがやや乱れながら引いていくのを見て、その前を横切るようなボールを入れた。ベンゼマはこれに対し、三方から囲まれているのを意識しながらも、その誰も手出しができないところへ向かって、やや後ろにステップを踏んで陣取る。そして入ってきたボールを左足で目の前にボールをコントロールし、わざとバウンドさせると、右足アウトのハーフボレーで左を狙った。
わずかに外れたが、隙間に入って確保したスペースで、迅速にシュートまで至った芸当は、名人的だったと言えるだろう。
そして後半には、今度は左からロドリゴがやはりバックラインの前に流し込んだグラウンダーのパスに対し、ベンゼマはやはり少し遠ざかりながらボールを受けている。これで、狡猾にシュートポジションを作った。そして右足ダイレクトで、左へ打ち込んでネットを揺らした。
誰もが横槍を入れることは狙っている。サイドに崩し切れる力がいる選手か、呼応できるだけの中央の選手がいるか。あるいはそのどちらもいてこそ、相手の想定を上回ってこそ、この攻撃は完遂されるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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